むらかみ内科クリニック

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  • 胸痛について知っておきたいこと

    最近、胸が痛いということで来院される方が毎日数名おられます。胸痛を感じたとき、多くの人が「心臓の問題ではないか」と不安になることでしょう。確かに、胸痛は狭心症や心筋梗塞といった心疾患に関連することがありますが、実際には他にもさまざまな原因があります。今回は、胸痛の原因と、その鑑別方法についてお話しします。

    まず、狭心症や心筋梗塞などの心疾患が考えられます。狭心症は、心臓への血流が一時的に不足することで起こる痛みです。胸の中央付近に締め付けられるような圧迫感を伴い、数分間で消失することが多いです。一方、心筋梗塞は、心臓の血流が完全に遮断され、心筋が損傷を受ける状態です。激しい痛みが続き、冷や汗や呼吸困難を伴うことがあります。心電図や心エコーといった検査が診断に役立ちます。

    次に、肺に関連する疾患があります。気胸や胸膜炎がその代表例です。気胸は、肺が一部虚脱する状態で、突然の鋭い痛みを感じます。痛みは片側の胸に限定されることが多く、呼吸するたびに痛みが増します。胸膜炎は、肺を覆う膜(胸膜)が炎症を起こす状態で、こちらも胸痛を引き起こします。痛みは呼吸や咳をするたびに悪化する傾向があります。肺疾患は主に胸部レントゲンで診断されます。

    また、神経や筋肉の問題による胸痛も見逃せません。肋間神経痛や帯状疱疹がこれに該当します。肋間神経痛は、肋骨の間を走る神経が刺激されることで生じる痛みで、深呼吸や体を動かすと悪化します。一方、帯状疱疹は、ウイルスが神経を侵すことで発症します。胸の片側に沿ってピリピリとした痛みが現れ、発疹が見られることが特徴です。

    これらの原因は、痛みの性質からある程度鑑別することができます。例えば、締め付けられるような痛みや圧迫感があれば心疾患が疑われ、鋭い痛みや刺すような痛みが片側に現れる場合は気胸や胸膜炎、神経痛が考えられます。また、体を動かしたときに痛みが悪化する場合は、神経や筋肉に関連する痛みである可能性が高いです。

    胸痛の原因として見逃せないのが、心因性やストレスによるものです。強いストレスや不安、緊張状態が続くと、自律神経が乱れ、胸の痛みや違和感を引き起こすことがあります。これらの痛みは、心臓や肺に異常がなくても生じることがあり、胸が締め付けられるような感覚や、胸全体が重く感じられることがあります。さまざまな検査を行っても特に異常が見つからない場合、心因性である可能性が考えられます。

    心因性の胸痛は、休息を取ったり、リラックスすることで改善することが多いですが、長引く場合や症状が強い場合は、専門医(心療内科医)に相談することをお勧めします。ストレスマネジメントや生活習慣の見直しも効果的です。

    当院は現在心療内科の新規受付を行っていませんが、胸痛で循環器疾患や呼吸器疾患も疑われるというときには遠慮なくご相談ください。

    Copilotでイラストを作成しました。