むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 検診データの解釈と治療方針決定について

    検診のデータで再検査が必要と言われて来院される方が、毎日多くおられます。再検査が必要とされた場合は、当然再検査を行い、必要に応じて追加の精密検査も実施しています。当院では、主に循環器系の異常が多く見られ、心電図異常、高血圧、血糖やコレステロールの異常などが主な内容です。また、肝機能や腎臓のデータが悪い場合にも精密検査を行うことがあります。

    なかには、事前にネットでいろいろと調べて、自分が重篤な病気ではないかと心配して来院される方もいらっしゃいます。もちろん、情報を調べること自体は良いのですが、誤った解釈に基づき、それが頭から離れず、いくら説明しても自分は深刻な病気だと思い込んでしまうケースも見受けられます。

    特にデータの解釈が難しいのは、若い人と高齢者における取り扱いの違いです。例えば糖尿病の場合、ヘモグロビンA1cを7未満に抑えることが一般的ですが、高齢者においては、より緩やかな基準が適用されます。これは、高齢者の場合、低血糖が心疾患などのリスクとなるため、血糖値を程々に下げる方が良いとされるためです。

    もう一つ重要なことは、治療の目的を明確に考えることです。単に数値を正常範囲に戻すことが目的だと考えるのは誤りです。例えば尿酸値を下げる目的は痛風の予防や腎保護であり、単に数値が高いから下げるわけではありません。血糖やコレステロールも同様で、単に数値を下げるのではなく、脳梗塞や心筋梗塞の予防を目的に下げるのです。

    そのため、治療を行う際には、得られるメリットと薬の副作用や費用対効果を総合的に考慮して、治療を行うかどうか、また行う場合にはどのレベルまで数値を下げるかを決定します。一次予防と二次予防(再発予防)では治療目標が大きく異なることもあります。これらを総合的に判断し、単に検診のデータが高いからといって、無条件に数値を下げるわけではないということを知っていただきたいと思います。