むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 夏の体調不良には漢方を

    熱中症は点滴やクーリングといった処置を必要とすることもありますが、夏バテの場合は漢方の出番です。暑さで体調不良を感じる場合、例えばめまいや食欲不振などの症状があるなら、補中益気湯や清暑益気湯といった漢方を使います。補中益気湯は、疲労感が強く、食欲不振や倦怠感がある場合に効果的です。清暑益気湯は、暑さによる体力消耗を回復させ、元気を取り戻す助けとなります。必要に応じて他の処方を併用することもあります。

    野外での仕事や建築現場などで働く場合、暑さ対策として体にこもった熱を冷ましてくれる黄連解毒湯をあらかじめ服用してもらう場合もあります。また、アイスや冷たい飲み物で胃腸の機能が低下することもありますが、そのような場合には、六君子湯や安中散といった胃薬系の漢方が効果的です。これらは、消化機能を整え、胃腸の不調を改善します。いずれにせよ、今年の暑さは尋常ではないので、体調不良の際には漢方を思い出してください。きっとお役に立てるはずです。

    最近は夕立が多い天気が続いています。通常、低気圧の接近で頭痛がする体質の人は、夕立前にも頭痛を感じるらしく、今日は夕立が来そうだとわかるそうです。すごいですね。先日、関東に上陸した台風でも頭痛がひどかったという患者さんが多数いたのが印象的です。九州に関係ない台風のことは考えてもいませんでしたが、頭痛体質の人にとっては、あのくらい離れていても影響を受けるのですね。こういった天気による頭痛には五苓散がよく効きます。五苓散は、体内の余分な水分を排出し、頭痛を和らげる作用があるため、気圧の変化による頭痛に効果的です。一度使うとその効果がわかるので、たいていこのような体質の方は常備しています。生理前に頭痛がするという人も、体質的には共通点があります。

    五苓散は体内の水分バランスを正常化させる働きがあります。先に書いた熱中症の際、脱水症状の人もいますが、案外皆さん水分摂取には気をつけており、一日5リットル、すごい人は10リットルの水分を取っていると言われます。しかし、水分の過剰摂取は消化管に負担をかけることがあります。特に、これだけ大量の水分を胃腸に入れると、粘膜からの吸収が追いつかず、下痢を引き起こすこともあります。このように、消化管が水浸しになってしまったときにも五苓散が整えてくれます。この時期、とても重宝します。