むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 長引く咳はマイコプラズマかもしれません

    お盆明けの忙しさの中、最強クラスの台風10号が九州直撃で、多くの方が心配されていたと思います。私も、以前このコースで接近した台風の怖さを知っていることから、少なからず不安を感じていました。しかし、幸いなことに今回の台風は大きな被害をもたらすことなく過ぎ去ってくれました。被害が最小限に抑えられたことに感謝しつつ、引き続き防災意識を高めていきたいと感じました。台風のお陰で気温がさがり、久しぶりにエアコン無しで熟睡できました。

    さて、風邪をひくと、つい「早く治りたい」と思い、抗生物質を求める方がいらっしゃいますが、風邪に抗生物質は効果がありません。その理由は、風邪の原因がウイルスであるからです。抗生物質は細菌に対して効果がありますが、ウイルスには効果がありません。そのため、風邪の場合は抗生物質を使用しても症状の改善には繋がらないのです。

    むしろ、抗生物質の不必要な使用は、耐性菌の発生を招き、将来的に本当に必要な時に抗生物質が効かなくなるリスクを高めます。風邪の際には、安静と十分な水分補給、栄養の摂取が基本です。当院では主に漢方薬を処方しています。漢方が風邪に有効なのは4千年の歴史の証明するところです。

    一方で、最近マイコプラズマ感染症が流行していると報道されています。何故か昔からマイコプラズマはオリンピックの年(4年ごと)に流行する傾向にあり、今年もちょうどオリンピックの年となります。マイコプラズマは、特に子供や若年層に多く見られる呼吸器感染症で、その症状は風邪と似ていますが、より長引くことが特徴です。

    初期症状は、喉の痛みや軽い咳、倦怠感などですが、徐々に強い咳や発熱を伴うことがあります。咳は長引くことが多く、時には数週間続くこともあります。この場合、治療には抗生物質が有効で、適切なタイミングでの治療が重要です。症状が気になる場合や、家族内で同様の症状が見られる場合は、早めの受診をお勧めします。

    台風一過で気持ち良く晴れた朝をCopilotに描いてもらいました

  • 病院は社会インフラとしての責任がある

    台風は予報通り直撃コースで接近してきましたが、WINDYという天気アプリで見ると、台風の目が結構大きく、私の書いている今現在ちょうど目の辺りで小雨になっているようです。深夜から明日朝にかけて吹き戻しが来そうなので、まだ油断できません。熊本より宮崎など少し離れたところのほうが被害が大きかったようです。当院は、予定通り通常の体制でクリニックを開きました。午前中小雨だったので思ったより患者さんの来院がありましたが、昼ごろから雨が強くなり、午後は患者さんも少なく、のんびりと診察机に積み上げていた文献をついに読むことができました。よくこういうのを「積読(つんどく)」といいますが、まさにそんな感じでした。

    6月が当院の決算月で、先日やっと決算書が会計事務所から完成して届けられました。それに基づいて5種類ほどの法人税や消費税を納税しないといけなかったのですが、納付期限がわずか3日ほどしかなく、どうしようと思っていました。ちょうど台風のお陰で昼休みをたっぷり取ることができて無事銀行に納税に行くことができました。

    私がクリニックを台風直撃でも開けたのは、病院というのは利益を追求する商売ではなく、社会インフラとしての使命があり、地域の皆さんのいざというときに役に立ちたいと言う思いからです。銀行や郵便局が開いているのと同じです。私の思いを理解して出勤してくれたスタッフのみんなにも感謝です。急な発熱、腹痛、下痢、咳が止まらない、などなどいろいろあります。みんなが日赤の救急外来に行ってしまうと日赤も大変です。軽症が多すぎて高度救命救急ができないとなると問題です。そういう意味でも、私たちが頑張らないとと思うわけです。以前も書いたように、「私がやらねば」という気持ちです。

    今後の天気次第ではまだ不確定なところはありますが、明日金曜日も通常通りクリニックを開けるつもりです。もし、危険なレベルで悪天候だった場合は臨時休業もありえます。その際はこちらのホームページにお知らせしますので、ご確認ください。みなさんもどうぞ安全にお過ごしください。

    「開いてて良かった!」 Copilotでイラスト作成しました。

  • テレビよりラジオがおすすめ

    私のブログはアップする前日の夜に書いています。そこで、台風はまだ九州の南に位置しており、外は多少の風と雨模様です。いつものように夕食後にチョコザップに行ったらさすがに誰もいません。思う存分走ったあとは、せっかくなので隅々まで掃除をして気分よく帰宅しました。私がフレンドリー会員(チョコザップでのお掃除ボランティア)をしているとブログに書いたら、患者さんで同じようにフレンドリー会員に申し込んだという方がおられました。いいですね!こういう輪が広がると世の中明るくなります。掃除をすることで自分も気持ちいいし、来訪者も気持ちいい。

    さて、台風ですが、予報を見ると有明海の方から東へ曲がって熊本に上陸するコースになりそうです。台風が有明海を通る場合、熊本市は台風の目の東に入るので、被害が大きくなります。最も警戒を要するコースとなっています。クリニックは開ける予定でいますが、スタッフのみんなには危険を犯して無理に出勤しないでいいと言っています。したがって、通常通りの診療体制は取れないかもしれません。万一、非常に危険と判断した場合は、臨時休業という可能性もあります。その際はこちらのホームページの「お知らせ」にあげますので来院する前にご確認ください。

    だいたい、こういうときに後悔するのは、田んぼが気になって見に行ったら川に流されたとか、屋根が気になって登ったら風にあおられて転落したとか、そういう事故の話です。危ないとわかっているのに見に行きたい衝動が抑えられないのは困ったものです。老人ホームに訪問診療に行くと、ほとんど皆さんテレビを付けています。画面には台風情報が延々流れており、見ていると心配ばかりが増えてきます。こういうときはテレビは消してラジオを聞きましょう。ラジオは無駄に不安をあおるような番組はありません。楽しい会話と音楽、ときどきお天気情報。これがいちばんです。

    嵐の中の外出は極力控えましょう

  • 不眠の話

    台風の進路予想は九州直撃コースになってきました。これから風雨が強くなってくることが予想されます。玄関やベランダにある飛びやすいものを片付けるように注意しましょう。まだ1日時間があると思いますので、できるだけ準備をしておきたいものです。

    今日のクリニックは、台風の前に薬を補充しておこうという患者さんが多く、かなり待ち時間が長くなってしまいました。できるだけ手短にテキパキと進めたいのですが、中にはあれこれ悩む方もおられます。例えば、眠れませんとか、頭痛がしますとかです。そのような症状をわざわざ伝えるということは、「睡眠薬や頭痛薬を出しましょうか」という話になりますが、「飲んだほうがいいですか、癖になりませんか」と診察中に考えがまとまらない方がいらっしゃいます。どうしてほしいのか、ある程度決めて来ていただくと助かります。何十人もうしろに控えているときに、その2~3分がとても貴重だからです。混んでいないときは、どうぞ好きなだけ悩んでください。

    せっかくなので、ここに考え方のヒントを書いておきます。まず、眠れない人が睡眠薬を飲んだほうがいいかどうかの基準は、翌日どのくらいきついかだと思います。眠くて仕事に差し支える、家事や育児がまともにできない、運転中に睡魔に襲われるなどがあれば、睡眠薬を飲んでしっかりと寝たほうがいいでしょう。昼間特に何をするでもなく、昼寝もできるし、それほど困っていないというのであれば、睡眠薬を使う必要はないと思います。何時間くらい寝れば十分かは人によって異なりますが、一般的には6~7時間は寝たほうがいいとされています。中には、3~4時間しか睡眠時間が取れなくても十分に元気に過ごしている人もいます。

    問題は、夜間頻尿で3回以上トイレに起きると、それだけでも睡眠不足になります。一旦トイレに起きるとなかなか寝付けないという場合、状況はさらに深刻になります。このような場合、睡眠薬だけでなく頻尿の治療を考えたほうがいいと思います。

    不安やうつで眠れない場合は、睡眠薬ではなく抗うつ剤を使うことでよく眠れるようになることがあります。デパスやソラナックスなどのベンゾジアゼピン系の抗不安薬を睡眠薬代わりに使うことはおすすめしません。当院では、希望されても原則処方していません。最近は、依存性が低く、安全性が高い新しい睡眠薬が出てきており、不眠治療で最初に試すにはこのような薬剤がおすすめです。

    Copilotでイラストを作成。眠剤を深夜2時、3時に飲むのはおすすめできません。

     

  • 台風に備えましょう

    九州には来ないと思っていた台風が、どうやら明日にも上陸の可能性があります。速度が遅く、方向がまだ定まっていないので、どうなるかはぎりぎりまでわかりません。このような場合、空振りであっても、きちんと備えておいたほうがいいと思います。水や食料(パンやレトルト)、懐中電灯、カセットコンロ、ポータブルバッテリーの充電などです。うちも、大容量のポータブルバッテリーを持っているので、こういうときこそフルに充電しておきたいと思います。食料は無印のカレーをいろいろ買ってあるので、あとはご飯を炊いて冷凍しておくと準備万端です。

    クリニックはソーラーパネルで発電した電気を蓄電する仕組みになっているので、停電には備えられるのですが、台風のときは天気が悪いので太陽光発電は期待できません。台風が接近したら、買電で蓄電しておこうかと思っています。当院は高台にあるので水害はあまり心配していませんが、途中の道が冠水すればたどり着けない可能性があります。それでも診療はできると思っていますが、嵐の中での来院は危険ですので、薬を取りに来るなら台風接近の前に済ませることをおすすめします。

    さて、台風の話題とは別に、当院の取り組みについて述べたいと思います。以前から当院はコロナ後遺症の治療に力を入れてきました。正確な数字ではありませんが、これまでに数百人の患者さんの治療を行ってきました。今日来院された患者さんも「コロナ後の困った症状がいろいろあり、あちこちのクリニックを受診したけれどたらい回しにされて途方に暮れていた。当院で話を聞いてもらって、薬を2週間飲んだらかなり症状が楽になった」とおっしゃっていました。コロナ後遺症を治療する決まったメソッドはありませんが、そのうち治るだろうと放置したり、諦めたりせずにご相談ください。

    Copilotでイラスト作成しました。