この6月診療報酬改定があり、今回は循環器内科や糖尿病内科などを狙い撃ちにした厳しい改定でした。何も対策しないととんでもない減収になり、病院機能を維持するのも難しいレベルでした。私の恩師の一人で開業されている先生も、今月閉院されました。クリニック経営には大変な時代になりました。今回は循環器など生活習慣病を見ている私たちが痛い目に会いましたが、おそらく次回は消化器とか、呼吸器とか、次々と分野を広げて来ると思います。これもすべて、高齢化に伴う医療費の増大が原因ですが、そもそも国民の平均年齢が上がり、団塊の世代がみな後期高齢者になって医療費が上がるのは最初からわかっていること。必要な医療費は必要なのだから、削減してクリニックの経営もままならない状態にするのはどうかと思います。
問題はクリニックだけでなく、医薬品メーカーも相当なダメージです。毎回薬価改定でどんどん値下げされたため、ジェネリック医薬品などは作れど作れど安すぎて会社の設備投資もできない。バカバカしくなって作るのをやめたところが山程あります。咳止めも、ビタミン剤も何もかも入手困難です。原材料は値上がりしているので、作れば損をする。一方、新しいバイオ製剤や抗がん剤などはびっくりするほど値段が高い。製薬会社もそちらの分野にだけ勢力をかたむけています。これだと、一錠10円の薬を9円に値下げしても、バイオ製剤1回で何十万という値段がするので、医療費全体としては安くなりようがありません。
さて、その改定後最初の月が今週で終わろうとしています。当院はスタッフみんなでいろんな対応を考えて努力してくれたおかげで、減収を免れ、前年同月と同等の実績で推移しています。ホッとしています。国はスタッフの給料を上げるためベースアップ加算を申請したら、初診料や再診料を上乗せできる仕組みを作っていますが、当院はそんな加算で患者さんから何百円か余計にいただくのも申し訳ないので申請していません。自力で精一杯働いて、その分でベースアップするつもりです。