予報通り夕方から雨になりました。5月も最終週です。台風発生のニュースもありましたが、梅雨入りも間近と思われます。頭痛や目まいの起こりやすい季節となります。当院にかかりつけの患者さんは毎年この時期は五苓散を早めにもらっておいて、梅雨の不調を自分でコントロールするという人が多く、もう、準備している人がたくさんいます。一時期五苓散が市場からとても品薄になり入手困難な時期がありましたが、最近流通は落ち着いてきています。
先日NHKで漢方と鍼の話があったそうです。私はTVを見る習慣がないので知りませんでしたが、見た患者さんから足の三里に鍼をしてほしいとか、いろいろ番組の反響があったみたいです。以前は漢方関係の番組があると飛びついてみていましたが、最近は興味がなくなりました。見なくても知っている、というのが一つですが、もう一つの理由は、変に大勢の人が漢方に興味を持ってしまうと、貴重な漢方資源が枯渇してしまうということを心配するからです。漢方薬は西洋薬のように簡単に大量生産できるものではありません。畑の土を作り、何年もかけて薬用植物を育て、収穫して洗って選別して乾燥してとたくさんの工程を経て市場に並びます。それを漢方メーカーは仕入れて、レシビどおりに煎じてフリーズドライにして製品化する、という流れになります。同じ釜で他の製品を煎じるためには、工場のライン全体の洗浄が必要です。前に作ったものが残っていて混じったりしたらいけないので簡単ではないのです。
このような貴重な生薬を使った漢方薬は西洋薬など他の手段で治せない難しい人にだけ処方したいのです。高血圧、高コレステロール、糖尿病、不眠症などは西洋薬でコントロールしたほうが確実です。薬のアレルギーとか妊婦さんとかなにかの理由で漢方でないと難しい場合を除けば、そういった生活習慣病などには漢方は不要だと思います。