むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 認知症予防に魚のアラ汁はいかが

    この週末、久しぶりに牧田善二先生の本を読みました。「認知症にならない100まで生きる食事術」(文春新書)です。これまで牧田先生の本は何冊か読んでクリニックの待合に並べていました。今回の本はまだ発売されて1週間ぐらいしかたっていません。できたてほやほやの本です。認知症にならない方法がわかるならなんて嬉しいことでしょう。牧田先生も本の中で言っていますが、認知症になってしまったら治せる薬なんてありません。保険で収載されているアルツハイマーの治療薬はいくつかありますが、まず効きません。私はほとんど処方しません。訪問診療などで高齢者の診察を頼まれると、前医の処方で認知症の薬が入っていることがあります。最初はしばらくその処方を引き継いで様子を見ますが、だんだん、この患者さんが怒りっぽいとか気分にムラがあるのは薬のせいだろうとはっきりしてきたら、薬を止めます。するとみるみる穏やかになり、介護士さんを悩ませるような介護への抵抗や徘徊がおさまることがあります。

    本題に戻りますが、認知症になってしまったら後戻りは難しい。ではどうすればいいかというと、50過ぎたら認知症予防を意識して食事に気をつけるということ。50頃から20年ぐらいかかってだんだん後戻りできない変化が脳に起こってくるわけです。最近人の名前を思い出さないとか、頼まれた仕事をうっかり忘れていたとか、物忘れの兆しがあれば、一刻も早く進行を止める対策が必要です。牧田先生は、認知症は頭の糖尿病と言われています。糖質(炭水化物)をとりすぎないこと、肉、魚、野菜をしっかり取ること、高温で調理したものは糖化タンパク(AGE)が多いので揚げ物>グリル>煮物>生の順で注意。もっと具体的なことがたくさん書いてあるので、ぜひ目を通してください。当院待合の本棚に並べておきます。

    当院では、コロナ後遺症の人をたくさん見ましたが、ブレインフォグという頭がボーとして人の指示も入らず、考えがまとまらないという人をたくさん治療しました。これは認知症ではないのですが、似たようなもの。当院の経験で著効したのはオメガ3(EPA/DHA)という魚油カプセルです。これを食事に置き換えるならとにかく魚を食べることです。上記した通り、焼くより煮たほうが糖化タンパクが少なくて健康的ですが、刺し身がベストです。お寿司にすると無駄に炭水化物を取ってしまうので、要注意。私が考えた最も魚油を美味しくヘルシーに取る方法はスーパーで魚のあらを買ってきて味噌汁にすること。あらは安いし、味噌とネギと昆布があれば簡単にできます。

    県庁の銀杏並木 紅葉が少し進みました

  • ミニマリズム

    せっかく晴れた素晴らしい日曜でしたが、今日は院内のワックスがけの日でした。あさから院内に待機でした。今日はあまり立て込んだ仕事もなかったので、NHKハングル講座を聞いたり、2ヶ月分くらいたまったレシートの整理などを済ませたら、WEB講演会に参加しました。それでもまだ時間があるのでしばらくNetflixでHow to get richの続きを見ました。関連動画でおすすめに上がってきた「今求められるミニマリズム」というアメリカの番組が気になったのでこちらも見ました。ミニマリズムというのはいろんなものを買わずに必要最小限の物品しか身の回りにおかずに生活することです。こちらの番組もとても役に立ちます。物欲の塊のような人には一度見てもらいたい番組です。

    その中で登場する人たちはたいていビジネスである程度成功してなんでも買えるくらい金持ちになっています。アメリカンドリームの実現です。とにかく身を粉にして働き、会社での出世と給料が増えることに情熱を燃やします。その結果、いい家に住み、いい家具や車を買い、はたから見ると何不自由ない幸せな生活を得たように見えるのですが、何も満たされない。問題点はいくつかあるのですが、番組で指摘された一つは、SNSの発達です。以前は近所の人がいい車を買ったとかいい家電を持っているというのが自分との比較対象だったのですが、今では世界中のSNSで繋がっている人が自分の比較対象で、いい家、いい車、豪華な食事、旅行など羨ましく思うポイントはエンドレスです。何かを買ってもすぐに慣れてしまうのでいつの間にかそこがゼロポイントとなり、また次に目がいってしまうのです。

    AIの発達でネットサーフィンをしているとその人の行動パタンや消費パタン、興味あるものは全部筒抜けです。絶妙のタイミングでその人向けの広告が上がってくるようになっています。大企業はそうして消費を促しているのです。ミニマリズムというのは、そういう企業の仕掛けてくる消費させるための罠から完全に離脱して、自分が本当に必要なものだけを買うというもの。当然、無駄遣いをしないのでお金は余るし、人を羨んで無駄なイライラとか欲求不満がなくなるので、幸せ度が上がるみたいです。

    How to get richも役に立つ番組ですが、ミニマリズムのほうがもっと精神的にも成長できるいい番組のような気がします。それにしてもNetflixはすごいです。私が韓ドラを見ていると、次々と関連のおすすめドラマが出てきます。一度お金の話についての番組を見たら、芋づる式に面白そうなものを勧めてきます。昔、メンタリスト・ダイゴが言っていましたが、トランプカードから一枚相手に引かせて、相手は一枚選ぶ。「あなたは自分の意志でそれを選んだと思っていますが、私がそれをあなたに引かせたのです。」聞いたことあると思います。私たちの消費行動も自分で必要で買っていいるような気がするだけで、多くの場合ネットやTVなどのCMから心理戦であなたに消費行動を取らせているのです。私が思うに、人がいちばん引っかかりやすいのが不安からの行動パタンです。コロナが怖いからワクチンを打つ、家から出ないなどは希望や欲望ではなく不安から逃れたいために行動するのです。霊感商法も似たようなものです。この壺を買わないと健康を損ねるとか、家族に大変な不幸が訪れるなんて脅されると、買ってしまうんですね。気をつけましょう。

    どんどこ湯 立野

  • 高齢者の引っ越しは大変

    老人ホームを中心に訪問診療をしています。10施設以上訪問しているので、それぞれのホームのいいところ悪いところがだんだん見えてきます。良し悪しというのは一般的な話の場合と、入居者さんと施設の相性の場合があります。例えば、寝たきりに近いお年寄りの場合、看護や介護の体制が充実している方がいいし、元気で活動的な場合は買い物などにでかけたり室内でお酒を嗜んだりできる自由度の高い方がいいと思われます。したがって、同じ高齢者でもその時々で適した施設が異なってくると考えられます。

    また、老人ホームを決めるのはお年寄り本人である場合より、家族が決める場合の方が多いような気がします。すると、お年寄りが住み慣れた町をはなれて子供の住むところの近くや子供の職場の近くなどが候補となります。また、施設は良かったけど毎月の支払いが高すぎて断念するという場合や、評判のいい施設は常に満室で空いていないという場合もあります。とにかくいろんな事情で入居先が決まってきます。

    事情はともあれ、90歳位になって住処を引っ越すのはとても大変です。体力的な問題よりも精神的なものが大きいのです。介護してくれる人がガラッと変わり、食事やデイサービスなどの内容もかわり、お風呂の設備も変わる。ものがどこにいったかわからない、誰に何を頼んだらいいかわからない、お風呂やトイレの勝手が違うと転んだりするリスクになる、などなど。そして、施設を移ったお年寄りが1ヶ月もしないうちに亡くなったなんて話をよく聞きます。高齢者の転居は十分下調べをして慎重にしていただきたいものです。

  • 豊かになる方法

    Netflixで韓ドラばかり見ている私ですが、先日昼ごはんを食べながらふと見始めたのが、アメリカのHow to get rich(豊かになる方法)という番組です。リッチをあえて金持ちと言わず「豊か」と訳したのは見てのお楽しみです。アメリカの有名ファイナンシャルプランナーがお金に困った家族の家計簿をみてアドバイスする番組です。多くのアメリカ人はカードローン地獄に陥っています。大学の奨学金ローンも社会人になりいつまでも足を引っ張ります。そういう中で、いかに借金を返済し、自由になるお金を手に入れるか、とても勉強になります。多くの人は持ち家を買うことにこだわるためにさらに借金(ローン)がかさんで自由なお金がなくなります。持ち家は、買うときに莫大なお金がかかりますが、住んでいると維持するため、さらにいろいろな出費がかかります。マンションも買ってしまえば修理費の積立など維持費がかかるのは周知の通り。この番組では、家を買うお金があっても、まずは賃貸で家賃の出費を固定化することでお金の流れを見える化することを勧めています。

    番組を見ていて思ったのは、家族、夫婦間でお金の話をすることが喧嘩の種になったりしてタブー視している家庭が多く、夫婦お互いが今銀行にいくら持っていて、借金(ローン)をどのくらい持っているか、毎月アマゾンにいくら使っているかなど、全く話すことなく見ぬふりをしているのが問題だと言っています。アメリカだけでなく日本も似た状況だろうと思います。つまり、リッチになるにはお金の出入りを見える化して人任せにしないこと。持ち家にこだわらず収入に見合った出費に抑えること、ローンはできるだけ早く返すこと、などが大切です。結局リッチいなるにはお金に正面から向き合い家族で話をし、ベールに隠さず正面から向き合う姿勢が第一歩です。

    スキルがあるのに収入に繋がっていなかったり、趣味の延長みたいな稼ぎ方しかしていない人にもアドバイスしていました。きちんとオフィスを借りて仕事をすることで、オフィスの賃貸料を差し引いても大きな収入に繋がります。自分のスキルを有効活用しないと小さな収入で満足していてはいつまでたっても今の生活から抜け出せない。そんな話もありました。まだ途中までしか見ていませんが、役に立つ話なので紹介しました。

    俵山にのぼる朝日

  • 少子化問題について考える

    経営者モーニングセミナーで、コウノトリのゆりかご(赤ちゃんポスト)の開設に尽力された田尻由貴子さん(慈恵病院のもと師長さん)のお話を聞きました。このモデルはドイツにあったそうです。ドイツに赤ちゃんポストが始まり、その数年後には日本に開設できたのは慈恵病院の蓮田理事長と田尻さんの功績だと思います。今日の話で聞いたのですが、ドイツではすでに全国に沢山の赤ちゃんポストがあるのに対し、日本はまだ熊本だけです。一つの病院がやろうとしても簡単にできるものではなく、市町村や国など行政のバックアップがないとできないそうです。もちろんそこには法的な問題や倫理的な問題があり、身元確認のため警察の協力も必要だとのことです。また、育てられない赤ちゃんを引き受けるだけでなく、その前から妊婦さんの相談をうける窓口も設置して、問題解決の糸口をさぐる努力をされているそうです。この問題は熊本ではホットなのに、どのような運営をされているかあまりよく理解していませんでした。すでに何百人という命をすくい、特別養子縁組などの制度を通して生まれてきた赤ちゃんを大切に育ててもらっているという話をきいて、心温まりました。ドイツに負けないように日本各地にこのような施設ができて、生まれてくる赤ちゃんが不幸なことにならないように願います。

    赤ちゃんの話で思い出すのは少子化問題です。日本の少子化は驚くべき状態で、これから団塊の世代が大量に亡くなれば日本の人口は激減します。国は対策をいろいろ考えているようですが焼け石に水状態です。晩婚化が進んでいること、未婚率が上がっていること、子育てにかかる費用(学費、習い事など)が高いこと、家が狭いこと、核家族で母親に子育ての負担が大きいこと、女性の社会進出でキャリアを中断したくないこと、などなど少子化となる理由は山のようにあります。

    そんな中で、会社は毎年事業計画で前年比プラス何%を目指すとか、必ずといっていいほど成長戦略を語ります。人口が減っていくのだから普通考えてマーケットは縮小します。事業計画は人口減少に合わせて毎年マイナスでも何ら不思議ではありません。現状維持できれば御の字です。それを無理やりプラス成長を目指すから、人手不足、時間外労働、ブラック企業などの問題が出てきます。時代はAIを使った無人(ロボット)製造です。営業などに人手を使うのは無駄。時代についていけない会社は淘汰を余儀なくされると思います。

     

    ナミ像@萌の里