むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 1回ですむ鉄の注射剤の話

    昨日はセミがいないという話を書きました。それを読んで、感想を伝えてくれた方がいました。昔はツクツクホウシの鳴き声を聞くと「いやだー、夏休みが終わる、まだ宿題が終わっていない、困ったー」という思い出が蘇ってくる、とのこと。わたしたちも皆そんな思い出がありますよね。その蝉の声が全く聞こえず、ジリジリと暑い昼間にシーンとしているのは変な感じです。今の学生さんたちはきっとツクツクホウシと夏の終わりの思い出はリンクしていないことでしょう。もう一つ思い出に残る蝉の声といえば、ヒグラシです。カナカナカナと独特の鳴き声が聞かれます。私のヒグラシの思い出は小学校時代阿蘇(大観峰)にキャンプに行った時夕立が上がって空が明るくなってきて聞いたカナカナカナという声でした。最近忙しくて随分阿蘇に行っていませんが、ヒグラシは鳴いているのでしょうか?

     

    さて、今日はモノヴァーという鉄の静脈注射剤のWEB講演を聞きました。通常、鉄欠乏性貧血の患者さんには鉄の内服剤を飲んでもらうのですが胃もたれしたり吐き気で飲めない人が一定割合います。その場合、しかたないので静脈注射でフェジンという鉄の注射をするのですが、10回20回とひたすら注射しないと効果が出ません。ところが、この新しいモノヴァーという鉄の注射剤は1回投与で終了という素晴らしい製剤です。患者さんは何度も痛い思いをせずにすみます。今日の講演でいいなと思ったのは産後の貧血です。

    産後鉄欠乏の人は多く、そのまま退院して赤ちゃんに母乳をあげようとしても鉄が欠乏しているのでとにかく子育てがきつい。そして母乳に含まれる鉄が少ないため子供の発育も悪い。そして、鉄が欠乏していると産後うつになりやすい。こういった一連の産後のトラブルをたった1回の注射で解決できるなんて素晴らしいこと。もう少しこの注射剤について勉強して当院でも使えるようにしたいと思います。