むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 確率の話

    先日、郵便局に振り込みに行った際に年賀状のお年玉くじの当選番号を書いた紙がおいてあったのでもらってきました。今日、家の掃除をしていて、ふとそのことを思い出して、10年ぶりくらいに当選しているかどうか確かめてみました。これまで、そんなのどうでもいいと思ってみることもなく過ごしていました。うちには、仕事関係も含めて100枚以上の年賀状があったのですが、あたったのは切手シートが3枚です。確率的に100枚に3枚当たるのですから、理論通りでした。

    ところで、来週発売の週刊誌の新聞広告を見ると、見出しでワクチンの副作用について各紙が取り上げています。私は楽天マガジンを購読しているので、オンラインでほとんど全週刊誌を読めます。さっそく、週刊誌をiPadにダウンロードして読みました。コロナワクチンを受けるほどコロナに感染しやすい、癌にかかりやすいなどのデータが紹介されています。これも確率の話です。確率というのは騙しやすく、騙されやすい。これは科学者ならみな知っているのですが、自分の予想した結果(仮説)が正しいと証明するためにあらゆる角度からデータを集めて解析します。誰が見ても明らかなことは統計処理する必要もありません。例えば、解熱剤のアセトアミノフェンを飲むと熱が下る、という事実を証明するため100人の発熱患者にアセトアミノフェンを飲ませた、などという実験はしません。

    では、どういう時に統計処理するのかと言うと、差があるのかどうかはっきりしない時です。例えば、骨粗鬆症の治療に骨を強くするビスフォスフォネートという薬を飲みます。これが本当に骨折を予防する効果があるのかは相当たくさん症例を集めて何年も追跡しないと差があるのかどうかわかりません。こういう時に数学(確率)の出番です。100人集めて差が出ないときは1000人集める。差が小さいほど大規模な研究となります。そして、今日私が言いたかったのは、ワクチンで本当に感染が増えるのか減るのかは統計処理でどっちにも転ぶほど「差が小さい」のではないかと言うことです。

    努力は実る 受験生頑張れ!もうひと息だ