むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方煎じ薬とエキス製剤の違い

    私は漢方を専門にしているとはいえ、通常はツムラなどの漢方製剤を処方しているのが現状です。私たちが漢方薬と言っているのはエキス製剤と言って、工場で生薬を煎じてフリーズドライにしたものをパッケージしたものです。ちょうどコーヒーの代わりにインスタントコーヒーを飲むのと同じです。コーヒー好きの人なら当然豆から挽いて入れたのとインスタントじゃ全然別物、と言われることと思います。たしかにそのとおりです。しかし、流通の問題などから私たちの処方する漢方はインスタントコーヒーみたいなものなのです。

    それでもきちんと使えばバッチリ効くのでエキス製剤に文句はないのですが、いちど本物を知ったらインスタントのクオリティーがこんなものかと思うことでしょう。また、コーヒーに例えるなら、キリマンジャロとかグアテマラなど産地によって味が違います。漢方薬も産地により少しずつ味わいが異なります。一流品は名産地に限ります。また、同じ産地でも一級、特級などグレードがあります。当然中国では品質によって値段が異なりますが、日本の保険制度では国が定めた薬価があるので、高級品を使うと薬局が損する仕組みになっています。以前は特級品は香港や台湾の金持ちとアメリカのチャイナタウンの華僑が持っていました。今はおそらく中国国内の金持ちのところにあると思われます。

    わたしの桜十字時代の同僚でで友人の石井氏が東京に漢方薬局をオープンしました。品質の良い生薬を扱っているそうです、むかし彼と一緒に仕事をしたおかげで生薬(煎じ薬:本物の漢方薬)の知識と経験が飛躍的に増えました。今日は石井氏が熊本に来てくれたので久しぶりにお会いして一緒に食事をしました。趣味を仕事にしているので、手抜きなしにどんどん頑張っている姿が素晴らしい。思い返すと、彼と知り合ったのは運命だったと感じます。ふたりして漢方に猪突猛進し今に至ります。

    いよいよ12月ですね