むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 変化は適応力

    コロナ患者さんや後遺症で悩んでいる人が絶えません。第8波もかなりの猛威を奮っているようです。ウイルスは変異が早く免疫があると思っていてもまたかかることがあります。私の患者さんで見ていると、いちどかかったら半年くらいは免疫があって再感染しないようですが、第7波以前のデルタ株あたりで一度感染していてもまたかかる人がいます。ウイルスが変異することで免疫を逃れているわけです。

    考えてみると、私たちも変わり身の速い人が世の中に適応が早いようです。昔ながらの頑固一徹という人は社会の変化についていけないようです。私が開業する前に勤務していた桜十字病院は変化が早い組織でした。極端な話、朝朝礼で言っていたことがその日のうちに変更されるようなことがありました。スタッフにとって見れば変化についていけないと思うことも多々ありますが、生き馬の目を抜くようなスピードで変化することで同業者の追随を許さなところがすごかったです。

    通常は一度決めたことをあっさり変更するのはだめみたいな風潮がありますが、コロナウイルスを見てわかるように生き抜く組織というのは変化が速いところです。私たちはウイルスではないのでランダムに変化しているわけではありません。変化が速く成功している組織というのは常にそのことを考えに考え抜いて即決しているわけで、何もいきあたりばったりに変化しているわけではありません。24時間時を惜しんで考え抜くことでタイミングを逃さず決断できるのです。ただ、悩みすぎて決めきれないならそれは本末転倒です。

  • 漢方講演の準備中です

    週末雪が振りましたね。各地で積雪のニュースがあっていました。昨日イオンモールにいったら、駐車場に雪の積もった車が止まっていました。山間部からやってきたのだろうと思いますが、すごいですね。月曜の朝は夜が明ける前から外に出て積雪していないか確かめました。子供なら雪が積もれば喜びますが、私たちは仕事があるので積もったら大変です。クリニックの近くはなだらかな坂道なので、積雪あるいは道路が凍結するようなことがあると車でアクセスできなくなります。幸い、開業して以来車が来れないほど積もったのは1度だけです。この冬は寒さが厳しいと言われています。一方、太平洋側の海水温は高めで水蒸気が豊富なため、強い寒気が入ると大雪になりやすいそうです。

    この極寒の月曜日に、100名近い外来患者さんが来られました。朝早くは寒さもあってのんびりスタートだったのですが、夕方にかけてどっと来院されたので突然混み合いました。タイミングによってはおまたせしたと思います。最近になりまたコロナ後遺症の患者さんが増えてきました。他院から勧められて来られる方もいます。他ではあまりやっていないコロナ後遺症外来ですが、当院では毎日たくさんの症例から経験を積んだ結果、症状ごとに効きそうな薬のパタンがわかってきました。年明けにはコロナ後遺症の講演を頼まれているので、年末の休みにはスライドを作ろうと思っています。

    それとは別に、今週金曜は鹿児島の漢方の勉強会から講演を頼まれており、私の漢方治療について紹介する予定になっています。最近はWEB講演なので、クリニックの診察室から配信するだけです。移動の時間的制約がないので本当に便利です。鹿児島だと新幹線で1時間ちょっとですが、クリニックから熊本駅までもラッシュを考えると1時間です。合計2時間はかかります。便利で嬉しいのですが、天文館できびなごの刺し身とさつま焼酎を一杯というわけに行かないのが残念です。

     

    博多 天神

  • サプリでコロナ対策

    天気予報通り雪になりました。寒い日曜でした。私は地域医療センターの出動協力で朝から救急外来で働きましたが、寒さのせいかわずかしか患者さんは来ませんでした。巷はコロナの第8波で発熱患者さんは多いと思いますが、病院に来ても特別な治療があるわけではないので市販のカロナールなどを使いながら1週間なんとか過ごさないといけません。カロナールの他に薬局で簡単に手に入るものでおすすめは葛根湯、麻黄附子細辛湯、ビタミンC,ビタミンEです。30歳以下なら葛根湯、40過ぎなら麻黄附子細辛湯です。どちらかわからないときは葛根湯でいいと思います。

    ビタミンCは通常の体調メンテナンスでは一日1000−2000mgですが、コロナかもと思ったら1日5000mg以上とる必要があります。その際、ビタミンCだけでは副作用が出るので、ビタミンEを600−800単位ほど併用しましょう。iHerbで手に入るものでおすすめはオリーブ葉エキスとセレニウムです。どちらも喉がチクチクしてきたらすぐ飲めば速攻で炎症がおさまります。風邪引いてから注文しても間に合いませんので、常備しておくことをおすすめします。日頃からの予防としてはビタミンB,C,Dが基本です。特にDは重要です。

    よく、ビタミンCは果物を取ればサプリを飲まなくても大丈夫ですか、と聞かれますが、全然足りません。ビタミンCを1000mgとるにはレモン50個くらい必要です。みかんをその量食べたら糖尿病になるでしょう。サプリでビタミンBやCをとるときは一度に取らず朝昼晩と分散してください。一気に取ると余分なものは尿中に排泄されてしまいます。

  • デジタル化(Dx)の進まない日本

    土曜日は予想を遥かに上回る患者さんでだいぶ混雑してしまいました。お忙しい中お待ちいただきすみませんでした。土曜日しか来れない人も多いので土曜の混雑はなかなか対策がありません。トイレに行くのも我慢してとにかく1分1秒を無駄にしないようスピーディーに、かつお一人お一人を丁寧にみるという難しいオペレーションとなっています。今日はベテランスタッフが1,2診察をうまく使って効率よく動けたほうだと思います。私が留学していたアメリカの大学病院も個室(診察室)がズラッとありそれぞれに患者さんが入り、医学部学生の予診、その後ドクターが部屋にやってきて診察、処方という流れでした。日本の多くは診察室にドクターが座りっぱなしで患者さんが呼ばれたら入る仕組みが多いですが、アメリカ式はドクターが複数の診察室を渡り歩くのです。

    私が留学していたのは2000年前後ですでに20年以上前の話です。当時、日本はまだフイルムのレントゲンでしたが、アメリカではデジタルで、画像端末のある部屋ならどこからでもレントゲンが参照できたので、すごく驚きました。また、講演や会議をする際に当時はスライドをパソコン(パワーポイントなど)で作って写真(ポジフィルム)に焼付けてカメラ屋さんで現像していました。すごい手間がかかり、写真の取り損ないなどで学会前に冷や汗をかいたことも何度もあります。それが、当時アメリカにはすでにデジタルプロジェクターがあり、パソコンから画像を出力してそのまま影写できたのでギリギリまでスライド作成できました。これもカルチャーショックでした。

    その後、2004年には帰国しましたが、日本もどんどんデジタル化が進んでレントゲンのフイルムレスとかスライドのデジタル化などはすぐに米国に追いつきました。しかし、社会全体をみると、日本のデジタル化は驚くほど遅れてアメリカばかりか中国や韓国にも遅れを取り、デジタル庁なんてできても目も当てられない周回遅れです。Dx(デジダルトランスフォーメーション)を合言葉にしていますが、私たちは毎日大量の紹介状を紙ベースで書いて印鑑を押して封筒に入れて糊付けしています。各種書類(診断書、介護保険の意見書、傷病手当などなど)いまだに紙に書いてます。毎月の切手代も数万円かかっています。ひどい話です。

    ホテル日航熊本

  • 糖尿病の治療とA1c

    糖尿病の状態がいいかどうかを測る検査にヘモグロビンA1cという検査があります。ヘモグロビンというのは赤血球の中にあるタンパク質で酸素を運ぶものです。血液中のブドウ糖濃度が高いとヘモグロビンと糖が結合して糖化蛋白を形成します。これがA1cの本体です。その他にも血液中のアルブミンという蛋白に糖が結合したグリコアルブミンという検査もあります。血糖値が高い状態が続くとA1cが高くなるので、治療目標としては7以下にしましょうと言います。治療中に問題となるのはA1cが8以上でどうしても下がらないときです。患者さん本人は元気ピンピンなのですが、10年20年とその状態を放置すると心筋梗塞や脳梗塞などをおこす可能性が高くなります。腎不全が悪化して透析になる場合もあり、網膜症になって失明する場合もあります。動脈硬化が進みすぎて足が壊死を起こして切断となることもあります。

    私は循環器が専門なのでこのような悲惨な行末をたくさん見てきました。糖尿病は若いうちからきちんとコントロールすることが大切です。一方、80過ぎたら、糖尿の治療も少し緩やかなものとします。厳密にしすぎると、知らないうちに低血糖を起こすからです。たとえばA1cが6を切るようなら、主治医からすごくいいと褒められるかもしれませんが、私はその数字を見たら慌てます。低血糖は心臓に悪いし、認知症のリスクでもあるからです。年をとったらある程度の高血糖は許容されます。むしろ低血糖が怖いのです。

    そういうわけで、当院では糖尿病患者さんのヘモグロビンA1cをこまめにチェックしていますが、これまで、検査が立て込むとどうしても待ち時間が長くなってしまって、申し訳ないと思っていました。そこで、今週、A1cの測定器を2台揃えました。これでどんどん測れます。同じ検査機械を2台も買うなんて開業医では普通しないと思いますが、患者さんの待ち時間短縮は患者さん満足度に大きく関与すると思ったので、思い切って買いました。

    天神