むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • GLP-1作動薬という糖尿治療薬が著効した話

    糖尿病の治療はこの数年で格段に進んでいます。新しい薬剤が出てくることでこれまで難治症例ではインスリン注射しかなかったのですが、最近はかなりのところまで内服治療で治せるようになってきました。当院かかりつけの患者さんで、どんどん数値が悪化してきてもうインスリンを導入しようかと思っていた人がいたのですが、ちょうどその頃長期投与ができるようになったGLP-1作動薬の内服薬があったので、それを処方してみました。それまで、GLP-1作動薬はインスリンのように自己注射するしかなかったのですが、薬剤の特殊な剤形デザインに成功し、内服薬が出てきたのです。

    使い始めてしばらくはまあまあいいかな?と悪くはないけど期待したほどでもない印象でしたが、ずっと使っていて、今日再来されて検査したところびっくりです。ものすごく良くなっていました。おかげで、糖尿の治療薬をいろいろ組み合わせて多剤併用していたのが、GLP-1作動薬だけでよくなりました。何か食事療法を頑張ったりしましたか?と訪ねたところ、特には何もしていないけど、食欲が抑えられてあまり食べなくなった、と言われました。

    そうなんです。このGLP-1作動薬は膵臓のインスリン分泌を促進して血糖を下げるのですが、それだけでなく食欲をなくす働きがあるのです。おかげで、薬は減らせたし、インスリンはしなくてよくなったし、体は痩せて軽くなったし、いい事ずくめでした。新薬はどう効くか文献ではわかっていても、目の前の患者さんでこのように著効すると感動します。