むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • エアコンを適切に使いましょう

    暑いと寝苦しいです。エアコンを付けていないと眠れない日が続きます。それでも、ずっとエアコンを付けていると寒くなるのでタイマーをかけているのですが、やっぱりタイマーが切れると暑くなって目が冷めます。おかげで睡眠不足です。老人ホームに訪問に行くと、お年寄りは暑さに強い人が多くエアコンもつけずに涼しい顔をしている人が多いです。しかし、からだは悲鳴を上げているかも知れません。自分は暑さに強いと思い込まず、きちんと暑さ対策、脱水予防に心がけましょう。

    一方、老人ホームでエアコンのリモコンが自分で使えない人もおり、一旦つけたエアコンが延々ついていてすごく寒い部屋で冬の布団にくるまっている人もおられます。エアコンで思い出したのですが、最近でも引っ越しをするときはエアコンを外して持っていくのでしょうか?私は一戸建てに住んで長いので引っ越しの経験は20年ほど前ですが、当時はエアコンを持って引っ越していた記憶があります。

    日本は部屋ごとにエアコンを入れるのでエアコンが何台も必要だし、室外機も見苦しいほどたくさん並んでいます。アメリカではほとんど1棟全体セントラルエアコンが標準で、廊下やトイレがエアコンが効いていないなんてありませんでした。学校も体育館もちゃんとエアコンが入っていたので、快適そのものでした。前に参議院選挙があった際に、近くの中学校の体育館に選挙に行ったのですが、とんでもない暑さでした。扇風機が何台もおいてありましたが、熱風です。選管の人たちの体調が心配になるほどでした。体育館は避難所にもなるので、太陽光パネルなどをたくさん並べて停電してもエアコンが入るように設計してほしかったです。そう考えると、日本の住宅事情はまだまだ後進国だとおもいます。

  • 漢方メーカーあれこれ

    コロナの拡大で解熱鎮痛剤のカロナールやロキソニンが出荷調整にあり、入手困難な状況が続いています。できるだけ、本当に必要な人につかいたいので、単なる腰痛や頭痛のような方にはできるだけ他の処方に変更したり、この際鎮痛剤に頼らないように頑張ってもらうことをお願いしています。また、コロナによく使われる小柴胡湯や小柴胡湯加桔梗石膏も入手困難。猛暑のため清暑益気湯も入手困難、といった状況です。薬がないと内科医は仕事になりませんが、特に漢方が欠品すると私の仕事は影響が出ます。

    漢方のメーカーはツムラが有名ですが、品質や剤形(錠剤やカプセルなど)の良さで他のメーカーも採用しています。それは、クラシエ、小太郎、オースギ、ジュンコウ、太虎堂、JPS、三和、本草などがあります。当院前の凌雲堂薬局にはそれぞれのメーカーが得意な分野があるため、たくさんのラインナップを揃えてもらっています。例えば痛みをとったり暖める効果の附子という生薬が得意な三和、下剤の大黄の品質に優れるオースギなど。また、希少なアキョウという成分を配合してあるJPSのものなどこれはというのは採用しています。漢方薬は合成ではなく天然の薬草を使ってあるため、その薬草の品質、産地、保存状態、目利き(いいものを仕入れる目)などが総合的に漢方の品質となります。昔ツムラの人に聞いた話では、中国に仕入れに行くと、現地の人との宴会になり、とにかくお酒が強くないと交渉にならないという話がありました。大変な世界です。

    そこで、話は最初に戻るのですが、某メーカーで品薄になっている小柴胡湯や補中益気湯は全メーカーで不足しているわけではなく、十分量を持っているというメーカーが有ることがわかりました。私にとってはお祝いすべきことです。うれしいことこの上ない。それを聞いて、今日から安心して補中益気湯などの処方を再開しました。とくにコロナ後遺症で倦怠感に悩まされている人、低血圧でめまいふらつき、朝起きが苦手なひと、夏バテで食欲が落ちた人など幅広くつかえる補中益気湯。別名を医王湯といい、漢方薬の王様です。

    熊本動植物園入口にて

  • 頭とからだをしっかり使いましょう

    報道を見るとやっぱりお盆休み明けでコロナの患者数は相当増えています。当院は発熱外来がないので、全く通常通りですが、発熱外来をやっている病院は渋滞ができるほどの混雑だろうと思います。私が契約しているいくつかの老人ホームでも患者さんは発生しましたが、比較的落ち着いています。介護士さんたちの必死の対策が功を奏しているのでしょう。しかし、問題は濃厚接触者扱いとなった人たちを何日も部屋に拘束することです。たいていはたまたま感染者とデイケアで一緒に過ごしただけで発熱もなく、結果的には取り越し苦労だったりするのですが、老人ホームにとっては一人の発生を許すと一気に広がってしまうので、徹底して隔離しています。

    その結果、この前まで歩けていた方が全く歩けなくなったり、認知症が進んで別人みたいになったり、運動不足で足がパンパンにむくんだりと、いくつもの弊害というべき症状を眼にしています。施設全体の感染対策をしないわけにもいかず、結果的に個人個人の健康は著しく損なわれています。同じことは、老人ホームだけでなく各家庭でもあると思います。今まで散歩やラジオ体操などに参加していたのをやめたとか、外出するのが怖いから一日へやでTVを見て過ごすという人はザラにいます。運動機能も認知機能も一気に低下して、今までの何倍もの速度で老化しているのが見受けられます。

    ある患者さん(70歳ぐらいの男性)がおっしゃっていたのですが、自分たちの年令になると1年1年はとても貴重で、元気なうちに旅行などしておきたいことがいろいろあるのにこの3年まるまる無駄に過ごしてしまった。悔しくて仕方ない、と。本当にそうだと思います。せめて、筋力と認知機能を落とさないようしっかり体と頭を働かせて、老化防止するしかありません。そして、チャンスと思ったらあれこれ躊躇せず動けるうちにしたいことをしてほしいと思います。

  • コロナ後遺症の漢方理論と実際

    患者さんに教えてもらったのですが、にがりはメーカーによってマグネシウム含有量が相当違っているとのことです。私はイオンで買っているのですが、イオンには1種類しか売ってないので比較したことがありませんでした。ネットで見るといろんなにがりがありますね。すごく薄いものから相当高濃度のものまであります。もちろん濃度によって適量が異なってきます。私はお茶などに数滴ずつ入れて一日で小さじ一杯程度をとっていますが、商品によってはそれが適量とは限りません。とり過ぎたらお腹がゆるくなるので、それを目安に程々の量をとってみてください。夏バテ対策にも塩分だけでなくマグネシウムその他のミネラル補給が必要です。また、足がつりやすいひとはにがりを毎日とっているとつらなくなってきます。多少塩分が入りますが血圧の上がる心配はありません。血圧を上げるナトリウムやカルシウムと反対に血管や心臓をリラックスさせるのがマグネシウムやカリウムです。にがりはそちらの成分が多いので大丈夫なのです。

    さて、当院はコロナ後遺症を積極的に見ています。毎日相当数来院されます。このブログを読んでいるドクターや薬剤師さんも多いそうなので、参考までに私の弁証(漢方的な見立て)理論を書いておきたいと思います。

    まず、ブレインフォグは頭の炎症と水毒(痰飲)と考えます。柴苓湯を基本としますが、体質により当帰芍薬散や四物湯+五苓散などを考慮します。微熱が続く場合、小柴胡湯をベースにします。柴胡桂枝湯や柴胡桂枝乾姜湯も候補となります。味覚障害は亜鉛の補給が必須です。漢方ではなくポラプレジンクを入れます。倦怠感は気虚ですが血虚を伴っているかどうかで補中益気湯や十全大補湯、人参養栄湯などを検討します。紅参末も非常に有効です。めまいふらつきの場合、気虚があれば半夏白朮天麻湯、気逆の傾向があれば苓桂朮甘湯となります。咳の亜急性期は竹筎温胆湯、慢性期は麦門冬湯あるいは滋陰降火湯を考えます。咳がひどいときは喘息用のステロイド吸入剤やモンテルカストを併用します。

    下江津湖

  • やっぱり増加・コロナ後遺症

    お盆休みも開けて忙しい週の始まりでした。やはりコロナ後遺症の新患が多く、いろんな体調不良で困っているようです。これと言って特効薬があるわけではありませんが、漢方を使うと謎の病態でも陰陽虚実あるいは気血水のバランスなどを考えて行くと自然と処方が決まってきます。私のように漢方専門で25年以上やっていると、コロナ後遺症もさして難しい病態ではありません。多くの人が共通した弁証(漢方的な見立て)となります。とはいえ、みんなに同じ処方をするわけではなく、むしろ全員違う処方になっています。オーダーメイド治療というわけです。西洋医学では、Aという病態(例えばコロナ後遺症)に対してXという処方が効くかを大規模臨床研究で統計的な差を出すことで有効性を示すのですが、漢方はAという病態に対しても個人個人で処方がXだったりYだったり、患者さんの数だけ違う処方をするので、西洋医学的手法で有効性を示すことは難しいのです。

    漢方が効いているかどうかは飲んで調子良くなったところで、一旦やめてみて悪化するかどうか、そしてもう一度飲んでみてまた症状が良くなるか、という流れで確かめることができます。これだと、一人ひとり違った処方でも、効いたのかどうかははっきりします。ただ、漢方はAという病態にXという処方みたいな短絡的な結論を導けないのが難しいところでもあり、面白いところでもあります。

    折しも、医薬品の欠品が相次ぎ、漢方も解熱鎮痛剤も入手困難な状態ですから、患者さんにベストな処方を出すことができない日々が続いています。仕方なく代替処方をしているのが現実です。料理に例えれば、カレーを処方したいのに欠品しているので、カツカレーあるいはカレーうどん、ちょっと違うけどビーフシチューで許して、という処方になっています。早く物流が回復することを祈っています。

    クレアのカレーやさん 2種のカレーライス