むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 世界高血圧デー

    5月17日は世界高血圧デーということで、診療が終わってからWEB講演会に参加しました。高血圧の話題です。ARBという種類の降圧剤が世に出たのがもう20年ぐらい前だったように記憶しています。当時は各メーカーがこぞって講演会を開いては、自分のところの薬を使ってくれと大プロモーション合戦がありました。それ以降ほとんど新しい降圧剤は出ていません。殆どの降圧剤はすでに特許が切れてジェネリック薬となり、安いのでメーカーは宣伝することもなくなりました。しかし、考えてみると、宣伝されたから使うというのはおかしな話です。いい薬はいいから使う。だめな薬はだめだから使わない。そういう筋の通った使い方をすべきです。製薬メーカーが講演会でプロモーションするときは心理作戦で洗脳してきますから、聞けばとてもいい薬のような気がして、使いたくなるように工夫されています。

    今、特許が切れたジェネリックの高血圧治療だと、処方する医師の考え方が処方を大きく左右します。特許が切れる前にたくさん使って使い慣れているというのが多いかもしれません。私が降圧薬にもとめる条件は1つ。降圧作用ができるだけ24時間は維持できるものということです。多くの降圧剤は半日程度しか効かないため、翌朝には効果が切れて血圧が上がってしまいます。私のお墨付きの半減期が長く安定した作用を持つ薬はアムロジピンとテルミサルタンの2つだけです。その2剤を合剤にしたミカムロという薬もあります。

    もう一つ、とっくに特許も切れており、1錠が10円くらいしかしない利尿剤系の降圧剤は誰も宣伝しませんが、非常に有用です。日本人は塩分摂取が多いので、塩分制限を厳しくすべきですが、それができないなら利尿剤を使って塩を尿中に捨てればいいのです。血圧はよく下がります。また、利尿剤系降圧剤は足のむくみや心不全も治療できるので、使わない手はありません。