むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • コロナ禍の消化器症状

    来週、「コロナ禍の消化器症状に対する漢方治療」という講演を頼まれています。今日は本番一週間前ということで、WEB会議で講演の打ち合わせをしました。もうひとりの演者はこくぶ内科の田中先生です。私の古くからの漢方仲間です。田中先生の講演のスライドを見ましたが、不安、ストレスなどの漢方治療について話されます。本業は消化器内科の先生なのに、やはり漢方をやっていると心療内科的な治療に興味を持つんだということがわかりました。ただ、私が当院でよく見るような心療内科の患者さんと似たような症例でも、違う人がみると違う処方が出るものだと思いました。結果的にはどちらが正解ということはなく、漢方で気血水を整えてあげることで体調は改善するので、不安やうつなども軽くなるのだと思います。

    さて、そのコロナ禍での消化器症状ですが、どんな症例が多いと思いますか?食欲不振?腹痛下痢?それもありますが、実際には過食、肥満の方が多い印象です。在宅ワークで家にいると、ついお菓子を食べながら仕事するとか、中にはビールを昼間から飲みながら在宅ワークという人もいます。人から見られていないところで自制してきちんと仕事をこなすのがいかに難しいことか。やはり、職場に出勤してみんなと一緒に定時で仕事をして定時で帰宅するほうが効率が上がると思います。わたしたちが学生だった頃、夏休みなど一日をどう使ってもいいとなると、一日10時間勉強して宿題を3日で終わらせることもできるのに最後の最後まで遊び続けて、最終日に徹夜で宿題するという人がいかに多いことか。時間を自由に使えるときの時間配分は案外難しいものです。

    あと、コロナ禍で多いのは買い物に行くのを控えるために毎日似たような食材を使った料理ばかり食べている人。買い物に行ったり外食すれば、バライティーに富んだ食材を摂取できますが、あまり買い物に行かないと人参、じゃがいも、玉ねぎなど定番の食材しか食べず、日持ちのしない季節の野菜などは口に入らない。結果、栄養に偏りが出てきて体はもっと食べないと体を維持できないと指令を出すため、過食してしまいます。しかし、過食しても同じ食材ばかりでは結局必須アミノ酸やビタミンなどが満たされず、食欲はおさまらず、どんどん太ってしまうということになります。したがって、肥満防止の観点からも、多彩な食材をまんべんなく摂ることで体は満足し、過食しなくなるので太らないということです。