むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 新しい認知機能検査法

    今日は診療後、3つのWEB講演会に参加しました。どれも外しがたい重要な会で、ずっと楽しみにしていました。幸い、若干の時間差があったので、6時半から最初の講演会が始まり、7時、7時半と順にスタートし、最後が終わったのが夜9時でした。充実した勉強ができました。なかでも興味深かったのが、アイトラッキング(視線の計測)を行うことで認知症を早期に診断するシステムの開発という話。パソコンの画面上に脳トレみたいな画面が出てきます。被験者(検査を受ける人)はその画面を見ているだけ。約3分で検査は終了します。AI(人工知能)により、視線の動きのパタンを解析することで認知症が始まっているかどうかをスコア化できるというものです。

    通常、我々が認知症の検査(長谷川式)をするときは、人手がかかります。目の前にペンや時計などを置いて覚えてもらい、それらを片付けてしばらくして何があったかを思い出してもらうとか、野菜の名前を10個言ってもらうとか、難しい事ではないのですが、耳が遠いお年寄りに質問をしっかり伝えながら正しく検査するには相当パワーを要します。これが、パソコンを3分眺めてもらうだけで検査ができるならすごいことです。元々はこの技術は発達障害の子供の診断をするため開発されたそうで、小さいお子さんでもちゃんと検査できる機械です。その画面に出す映像を認知症検査用に新しく開発したというのがミソです。

    この検査は計算に使うデータ量も長谷川式に比べると膨大なので、とても鋭敏です。すると、もしかしたら治療効果の判定も鋭敏にできるかもしれません。この機械で認知機能がスコア化できるようなら、脳に良いとされる漢方やサプリなどを総動員して認知機能が改善したかどうかも見ることができそうで、とても夢のある検査法だとワクワクしました。