むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • パルスオキシメーターはきちんと理解して使おう

    酸素飽和度(SpO2)という検査があります。パルスオキシメーターという機械で測るのですが、コロナの影響で、低酸素を家庭でも感知できるように購入された方も多いかと思います。指に小さな機械をはめると、酸素飽和度と脈拍が数値で表示されます。このパルスオキシメーターは私が研修医の頃、世に登場しました。最初の機械は電話帳くらいの大きさでした。採血することなく酸素の具合を測れるとあって、とても衝撃的でした。

    酸素飽和度というのは血液中の赤血球の内部にヘモグロビンという物質があり、これが酸素と結合するのですが、何%が酸素と結合しているかという数値になります。一方、私たちが救急などの現場で重要視するのは酸素分圧(PaO2)という数値です。こちらが生命維持にとても大切な数値なのですが、採血しないとわからないため簡便な酸素飽和度(SpO2)で代用しているわけです。実は、酸素分圧と酸素飽和度は直線的な相関関係にはありません。グラフにすると曲線となります。その結果、パルスオキシメーターで見た酸素飽和度が95%と98%はさほど酸素分圧に差がないのですが、92%と95%ではものすごい差となります。どちらもわずか3%の差ですが、92%を切ったあたりから酸素分圧は急激に落ちていきます。私たちが指にパルスオキシメーターをはめて精一杯息こらえをしたとします。最初98%くらいだとして、30秒間一生懸命息をこらえても92%を切ることはあまりありません。つまり、92%以下というのは激しい低酸素状態だということです。(参考:https://knowledge.nurse-senka.jp/19377/

    今日、診察室での会話から気がついたのは、患者さんたちはパルスオキシメーターの測定原理も意味もわからず指にはめて数値を見ているということ。当たり前ですが、私たちプロからしたら、驚きでした。上にかいたような生理学の常識なしに数値を見ても解釈できません。それから、手が冷えているとちゃんと測れません。緊張したりして手が冷たくなる場合も測れなくなることがあります。それは、機械が壊れたわけでもなく、とんでもない低酸素の状態でもないので慌てないでください。まず、温かいお湯やおしぼりで手を温めて緊張せずにゆっくり測ってみてください。きちんと測れると思います。(参考:https://www.nurse-happylife.com/23676/