むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 頻尿あれこれ

    頻尿の訴えは結構多く、老若男女問いません。原因もいろいろです。とりあえず検尿して膀胱炎でないかを確かめます。膀胱炎だと、尿中に血液が混じったり、炎症細胞が入ったりします。顕微鏡で見ると、膀胱の上皮細胞が剥がれて出ているのが見えたり、よく見ると細菌が混じっているのがわかります。この場合、抗生剤で治療します。膀胱炎も、繰り返していると抗生剤を何度も飲むことになりますが、膀胱中の細菌はだんだん抗生剤に耐性を獲得し、効かなくなります。特に耐性になりやすいのは、クラビットなどのニューキノロンと呼ばれる抗生剤です。私は極力使わないようにしています。

    通常、膀胱炎は熱は出ませんが、細菌(炎症)が腎臓まで上がってくると腎盂炎といい、高熱が出ます。高齢者の風邪症状を伴わない高熱の場合、尿路感染(腎盂炎)と胆道系感染(胆石胆嚢炎、総胆管結石など)が隠れていることが多いため、見逃さないように注意します。尿路感染でなくて頻尿の場合、過活動膀胱を疑います。過活動膀胱は、早め早めに排尿することで膀胱に十分量の尿が貯まる前に尿意を催すようになったものです。典型的なものでは尿意切迫と言い、突然尿が漏れそうなくらい尿意が切迫します。

    高齢男性の夜間頻尿は前立腺肥大が原因のことが多いので、まずは前立腺肥大のチェックを行い、必要な治療を受ける必要があります。前立腺肥大などの原因がない夜間頻尿に、デスモプレシンという抗利尿作用(尿の量を減らす作用)のある新薬が出たのですが、最近使ってみて印象的だったのは、高校生で模試などの際にどうしてもトイレが我慢できないのが困るという症例で、デスモプレシンを処方したところ、試験の最中トイレにいきたくなるのはおさまったとのことで、大変喜ばれました。