むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 私の頻用漢方ベスト3

    漢方を専門とする施設で処方数の多い漢方薬ベスト3をみると、その漢方医の考え方、趣味、患者層などが透けて見えます。例えば産婦人科では当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散がトップ3に入ると思います。八味地黄丸が好きなドクターもいます。私の前に東洋医学会熊本県部会会長だった吉冨先生は五積散が大好きでした。当院でよく使う漢方を考えると、抑肝散加陳皮半夏、人参養栄湯、苓桂朮甘湯の3つが圧倒的に多いと思います。かなり特殊かもしれません。抑肝散加陳皮半夏はストレスの薬です。会社や家庭で辛いことがあり、体調を壊した、眠れない、イライラする、と言った場合によく使います。慢性頭痛で鎮痛剤の使いすぎを改善するときにもよくききます。月経前症候群(PMS)のいらいらにも使います。目がピクピクするという場合にも著効します。子供が夜泣きする時、子供に飲ませるのもいいです。不眠にも使います。認知症のお年寄りが乱暴になったり、元気すぎて周囲に迷惑を掛ける時にも使います。とにかく応用範囲が広いです。

    人参養栄湯は疲れを取る万能薬です。最近ではコロナに感染してやっと退院できたとか、隔離から開放されたという人でかなり消耗しているのでこの処方をつかいます。がん患者さんで抗がん剤などと併用したり、手術の後の体力回復にもよくききます。子育てや仕事の疲れでバテてしまったときにも使います。もともと体力が弱く、風邪を引きやすい、コロナが心配、という場合にも良い。

    苓桂朮甘湯はめまいによく使います。めまい、フラつきの特効薬。それだけでなく、頭痛、頭が重い、朝起きるのが苦手という場合には必ず使ってみます。学生さんの朝起きが苦手で遅刻するというフクロウ体質の改善の基本処方ですが、大人でも朝起きが苦手な人に使ってみると効くときがあります。当院では、こういった患者さんが多いので、今回示したような3つの処方が相当数出ます。実際はどのくらい処方しているのかわからないので、一度薬局に聞いてみたいと思います。