むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 進まないオンライン診療

    先週末から東洋医学会総会がオンディマンドで再生できるようになりました。学会当日も時間のある限り参加したのですが、同時に複数の会場で講演があるため、どちらかしか参加できませんでした。リアルの学会はもちろんそれでおしまいですが、今回の学会はWEB学会だったため、期間限定ですが、後日オンディマンドで参加できます。当日見逃した人もこちらに参加することで参加点数をもらうことができます。素晴らしいシステムです。

    私は、当日参加できていなかった講演を毎日片っ端から視聴しています。今回の学会では、シンポジウムで新型コロナの漢方治療経験が多数報告されていました。いろんな先生が一生懸命考えて実践された報告というのは大変有意義です。中国でも新型コロナの軽症例は殆ど漢方治療で良かったと報告されています。日本も見習うべきです。日本の軽症者の現状は解熱剤程度しか処方されておらず、あとは酸素がいるかどうかと言った、重症化の有無を見守るだけの治療になっています。わたしたち漢方専門医からすると、何もしないで悪化しないことを祈るだけに等しいと思います。西洋医学で薬がないからと言って、それが全てではありません。特に解熱鎮痛剤だけで治療するなんて、その場しのぎで、根本的に解決になっていないことを肝に銘じないといけません。

    東洋医学会の発表を見ると、志ある漢方医の先生が西洋医学と並行して漢方を投与されています。このような漢方を入院しない(家庭で隔離される)人たちに広げてあげたい。そのためには、自宅隔離されている患者さんとクリニックをZOOMなどでつないでオンライン診療をする仕組みを構築しないといけないし、処方薬を薬局から宅配する仕組みも必要。しかし宅配では刻々と病状が変わる患者さんに対応できないというジレンマがあるし、患者さんに薬を届ける宅配業者さんを感染から守る対策も必要となります。

    他にも、オンライン診療は診察代をクレジットカード決済するシステムを入れないといけない。また、新型コロナの患者をオンライン診療した際には、毎日保健所に報告書をかいて送らないといけないそうです。ただでさえ膨大な仕事量の上に、そんな暇は取れるはずもなく、オンライン診療は日本全国遅々として進みません。