むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • コロナ後遺症の患者さんが増えてきました

    当院にコロナ感染疑いの人は来ません。検査ができないからです。風邪症状でコロナを疑う場合、発熱専門外来に行くことになります。そこでPCRなどの検査を受けるのは、今や常識となっています。最近、学校や職場で簡易キットを用いた抗原検査が推奨されていますが、抗原検査は感度の問題があるので、怪しいときはPCRのできる施設を受診することを勧めます。感度というのは陽性患者を陽性と判定できる確率です。例えば、おなじみインフルエンザの検査では、感度は70−80%くらいです。なぜ陽性なのに陽性と判定できない人が3割近くいるのかと言うと、検査するタイミングの問題と検査の綿棒をどのくらい鼻にグイグイと押し込むかと言った技術的な問題があるからです。そこで、素人が簡易キットで検査して陰性だったからと言って絶対陰性とは限りません。そういった検査キットの特徴を理解した上で行動しないと、かえって感染を蔓延させることになります。

    さて、そういうわけで当院でコロナを疑う患者さんはまずいないのですが、コロナにかかり入院(あるいは自宅隔離)していたけどやっと開放されて来ました、という患者さんが最近増えてきました。結構身近に増えてきた印象です。このような患者さんが、まだ本調子でない、体調が悪い、きつい、咳が出る、などの症状を訴えられます。このような症状はコロナワクチンの副作用でも見られるので、病態としては同じと考えています。

    おそらくこういうコロナ感染及びワクチンの後遺症は通常の西洋医学ではお手上げだと思います。治療法がさっぱり思いつきません。しかし、漢方的に考えると、高熱による消耗、虚労が背景にあり、気道は粘液分泌が減って痰がからみやすくなり咳が出ると考えます。漢方的には肺陰虚・肺気虚です。そこで、このような患者さんには人参養栄湯と滋陰降火湯を処方します。漢方のすごいところは治療経験がなくても寒熱虚実の病態把握が的確なら治療方針が立つということです。