むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 疾病利得というやっかいなもの

    連休の開けた月曜日で、相当忙しかったです。90名ほどの診察でした。コロナワクチンも着々と進んでいるので、休む暇は全くありません。なかには、会社のストレスで仕事に行けない、みたいな相談もあるので時間がかかってしまいます。現在、心療内科の新患は人数を制限して再開しています。コロナワクチンで忙しいので、あまりゆっくり話を聞けませんが、困っている人が多いので、少しずつ予約を入れるようにしています。ストレスなどで体調が悪くなる人の中で、大きく2つに分けるとしたら、いち早く回復したい人と、できるだけ長引かせたい人がいます。これは無意識なので、自分では早く治りたい、毎日がきつい、辛い、と思うかもしれません。しかし、疾病利得と言って、体調を壊すことで得する場合、知らず知らずのうちに病気は長引きます。心の奥底で治りたくないと思っているからです。

    一番多いのが交通事故などの被害者です。相手の保険が出る間何ヶ月でも調子は良くなりません。保険が限度額に達した突端、諦めと同時に治る場合があります。保険金より自分の収入のほうが高い人は入院やリハビリもそこそこに復職する事が多いです。長く入院・通院するほど損だとわかっているからです。もちろんそういう人は治りが早いです。心療内科で多いのは傷病手当。仕事を休んでもある程度生活が保証されるので、手当が出ている間はなかなか体調も良くないのですが、手当が限度に達すると慌てて復職したり転職先を探したりして、その後は元気になる人をよく見かけます。

    上司の心無い態度が自分を傷つけた、ということを自分がいかに重症かということを見せつけて訴えたいという場合、症状はどんどん悪化します。自分で調子悪くなってみせる、という方を選択しているから、体はそうなるのです。心と体はつながっています。大事なのは、自分の心と体がコンディションよく幸せであることです。調子悪くすることで保険金をもらったり、上司に仕返しするというのは本末転倒だと気づかないといけません。

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