むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 白目(結膜)の出血

    昼に目に違和感を感じて鏡を見たら眼球結膜(いわゆる白目の部分)に出血していました。目が赤い!たまに患者のこの結膜出血を見ると「そのうち治るので、そのまま様子を見て大丈夫ですよ」というのですが、自分でなったのは初めてです。視力はどうもないのですが、なんか嫌ですね。早く治るように漢方を飲んでみます。もしそれが有効なら、今度から患者さんにも処方します。・・と思って薬箱を探したのですが、適当な薬が手元にありません。止血目的で黄連解毒湯、これはありました。さっそく飲みました。白目が赤くなったのを散らすには桂枝茯苓丸がいいかなと思ったのですが、なかったので、疎経活血湯を飲みました。香りといい、味といい、大好き!私好みの漢方です。しかし、後で考えたら、治打撲一方(打撲を治す処方)のほうが良かったかもしれません。目の出血は打撲ではありませんが、きっと手で擦って傷つけたので、打撲と似たようなものと考えます。

    漢方は、このように本来一般的に使われる目的以外にも理論を考えれば幅広く応用できます。以前は、達人の先生がこういった応用編の使い方をおしえてくれて、惚れ惚れしていたのですが、最近はそのような講演はあまり見られません。それは、厚労省が定めた効能・効果以外の使い方(適応外使用)を良しとしないからです。しかしこれでは学問は進みません。例えば、高血圧の薬が狭心症の予防効果があるとわかっても、製薬会社がその薬を狭心症の薬として治験し、効能を取得しない限り狭心症の治療には使えない(建前)事になっているのです。

    私の漢方外来などは、そういった効能書きにとらわれていては全く先に進みません。奇想天外な患者さんの訴えも漢方的理論のなかで病態を把握することで、自然と使いたい薬が決まってきます。頭を柔らかくし、効能書きにとらわれずにその患者さんに必要な薬を思い浮かべます。

    俵山