むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 痛風と高尿酸血症

    当院は痛風の患者さんがたくさん来院されます。通常、痛風になると1週間ほど足が痛くて歩けないことが多いですが、当院でこれまでたくさんの症例経験を通して鎮痛に効果のある薬の組み合わせを使うと2−3日でかなり痛みが軽減して歩けるようになります。痛風は尿酸が高いと関節(特に足の親指の付け根)が腫れて痛む病気です。尿酸は健診で測るので皆さん高めかどうかはわかると思います。不思議と、痛風発作を起こすのはほとんどが男性です。女性でも尿酸値が9を超えるようだと、痛風発作を起こすことがあるので、油断できませんが、圧倒的に男性が多い疾患です。不思議なことに、足が腫れて痛んでいる発作時には尿酸値が通常より下がっている事があります。尿酸がさほど高くないからと言って、痛風ではないとは言えません。

    血液中の尿酸は測定できますが、痛風を起こすのは関節など組織内に沈着した尿酸です。そちらは測定できないので、現在の尿酸値だけでなく、過去にさかのぼってそれがどうだったかで痛風発作が起こるかどうかが決まってくるものと思われます。尿酸はビールなどに含まれるプリン体が材料となり体内で合成されます。ちまたにはプリン体ゼロのビールが売られていますが、実はプリン体ゼロを飲んでも尿酸は上がります。アルコールそのものが尿酸をあげるからです。したがって、ビール以外でもどのお酒を飲んでも尿酸は上がります。また、正月に注意しないといけないのは数の子やからすみなどの魚卵系珍味です。

    尿酸を下げる治療には尿酸合成(キサンチンオキシダーゼ)阻害剤を用いることが多いのですが、日本人の多くは合成の問題より排泄(尿酸が尿中に排泄されるスピード)の問題のことが多いと言われています。尿酸排泄促進剤という治療薬があり、そちらが非常に有効な例がたくさんあります。たまに薬が効きにくい人がいて、どちらの薬も思ったほど効かないことがあり、当院では合成阻害剤と排泄促進剤の併用を行っています。すると、両方とも低用量でかなり効果が出るため、コスト的にも安く治療できることがわかってきました。