むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 処方を決めるとき、ひたすら考える

    以前、医学部の学生さんたちに漢方外来を見学させていたとき、最後に何か質問は?と聞いたところ、「先生は処方を決めるのにいつもそんなに時間をかけるんですか」と言われたことがあります。そうなんです。私は、一例一例結構時間をかけて考えます。ちょうど将棋の対戦みたいに、一手を打つのに10通りくらいの方法(可能性)を考え、それぞれから起こりうる未来を一つずつ検証して、それが患者さんにとって好ましいかどうかを判定します。そして。もっとも良さそうな処方を決めるのです。たまに、診察の最中にどんな処方を出されますか?と尋ねられますが、正確に答えるなら「まだ決めていません」です。患者さんが診察室を出てからもあれこれ考え、パソコンに処方を入れてはもう一度考えて、別の処方に書き替えてはまた考えて、と繰り返します。

    直感も大事なのですが、かなりのところまで理詰めで考えて処方します。結果として、最初に直感で思い浮かんだ処方と実際に出した処方は結構違う場合があります。そうすると、家に帰ってその患者さんのことを思い浮かべても、結局どの処方をだしたか思い出せないことがあります。私はこのやり方で、ずっとやっているので、最近は精度も上がってかなりの難病(どこに行っても治らなかった難しい症例)でも、結構いい感じに改善している印象です。もちろん、私が処方しても治らない時は治りませんけど・・。

    西洋薬も同じです。たとえば血圧を下げる薬にはいろいろあります。アダラート、アムロジン、デイオバン、などなど。どの薬がどのくらいの強さで、何時間ぐらい効果があって、プラスアルファーでどんな効果が期待できるか、みたいな複雑な思考の結果、最適な処方を考えています。一つ一つの薬には、それを選んだ根拠があり、理屈があるのです。我々開業医は調剤薬局に無理を言って使いたい薬をほとんど入れてもらっているので、根拠を持って選んだ薬を実際に使えるのがありがたいことです。