むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 3段論法には気をつけよう

    たけしの健康番組ネタです。微小脳出血が結構見つかるという話です。微小脳出血は今日の番組では歯周病菌が脳に飛んで炎症を起こすことで血管が破綻して出血を起こすと言っていました。以前から歯周病菌は歯茎から血管内に入り、いろんな病気を引き起こすと言われていました。微小脳出血もその一つのようです。番組では口腔内の細菌数を減らす方法を紹介していました。口腔ストレッチという口の体操です。あいうべ体操とだいたい同じような感じでした。しかし、ここで番組が提示した三段論法は信じてはいけません。微小脳出血は歯周病菌と関連している。口腔ストレッチをすると歯周病菌の数が減少する。それでは<口腔ストレッチをすると微小脳出血が減る>という理論は正しいでしょうか?それは誰も証明していないので、頭の中で3段論法的に正しくても医学的にはまだなんとも言えません。私は、口腔ストレッチくらいでは脳出血は減らせないのではないかと思います。ただ、口腔ストレッチはお金がかるわけでもないので、やって見る価値はあります。

    医学界にはこのようなあやしい論法がたくさんあります。たとえば心筋梗塞はコレステロールが高い人のほうがかかりやすい(事実)。そして、スタチンという薬剤でコレステロールを下げると心筋梗塞が減る(事実)。この2つから、<コレステロールを下げれば心筋梗塞が減る>と言うのは正しいのかという話。実は、ゼチーアというコレステロールを下げる薬剤はコレステロールを下げても心筋梗塞を減らせなかった(最近やっと減らせるという論文も出ましたが・・)事実があります。結局、アメリカ心臓学会は高コレステロールの治療中はコレステロールの値は測る必要ない、とにかくスタチンを飲ませておけ、と言いました。結局、心筋梗塞を減らしたのはコレステロールを減らしたからではなく、スタチンの作用だった可能性があるのです。

    結局、スタチンには活性酸素を減らしたりプラーク(動脈硬化病変)を安定化させることで心筋梗塞を減らしているようです。血液中のコレステロールの値はスタチンが効いているかどうかの参考にはなります。ちょっと難しい話を書きましたが、TVで見る三段論法的なストーリーはまゆつばものが多いと思ったほうが良いと思います。