むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 科学者の目を持って自分で確かめること

    日々進化したいと思います。今日の自分は昨日までの自分とは違う。そうありたいです。毎日いいことばかりが起こるわけではないので、そう簡単に毎日進化できないと思うかもしれませんが、そうではありません。物は考えようです。例えば今週私は久しぶりに風邪を引きました。声がかすれて、診察もちょっと支障をきたしました。しかし、それでも進化しています。例えば、声がかすれたときにどんな薬が喉に効くか、これ幸いといろいろ実験して、ある程度の成果を得ました。咳も出たので、何種類もの咳止めを飲んでみました。どの薬がどんな効き方をするか、どんな副作用があるのか人体実験です。こういった経験は今後の私の診療(処方)に即反映されます。風邪を引いているとき、健康なときと比べて進歩が止まったり後退したりはしないのです。

    数年前に新しいアレルギー性鼻炎の治療薬が2つ発売されたときも、自分で飲みました。片方はよく効くが片方はあまり効かないということがわかり、採用薬を効く方だけに絞りました。その後数年たち、世の中を見渡すと、私の実体験どおりのシェアとなっています。その効果の差を知らないドクターはいまだに効かない方を使っていると思います。それは、製薬メーカーがいいことばかり言って宣伝するので、効かない薬も効くような気がしてしまうからだと思います。

    むかし高血圧の新薬がどんどん出た際には、各メーカーで宣伝合戦でした。その結果、メーカーに有利な研究成果を出して講演してくれる教授には研究費がどんどん入りましたが、後に論文捏造の問題なども発覚したりしました。結局、メーカーの言う宣伝は全くあてにならないので自分で確かめる必要があります。全部が全部自分で飲んでみることはできませんが、処方した患者さんの反応をつぶさに観察してきちんと評価する科学者の目が必要だと思います。

    桜十字病院の新しいロビー