むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 髪の毛を増やすには

    髪の毛を増やすのは中年以降の男性にとっては永遠のテーマです。昔ならひじきやわかめを食べるようにと言っていましたが、最近は、リアップ(増毛剤)とかプロペシア(男性用脱毛治療剤)などが有名です。こういった薬剤はある程度効果があり、学会も有効性を認めています。しかし、使ったことがある人はわかると思いますが、それほど有効でもありません。なかなか目に見える効果はありません。

    男性だけでなく女性も脱毛には敏感です。もしかしたら男性以上かもしれません。しかし、どのようにしたら髪が増えるのかはなかなかわかりません。育毛シャンプーとか育毛トニックとかいろいろありますが、何か一つ取り組めばいいという問題ではなさそうです。総合的なアプローチが必要だと思います。

    まず、ストレス。ストレスは脱毛の原因となります。次に栄養。ひじきや昆布、わかめなどはヨウ素を含むため、甲状腺機能と関連して育毛を促進するようです。もっと大切なのは髪の毛の材料。髪の毛はケラチンというタンパク質で出来ています。また、黒い色素はメラニンです。ケラチンもメラニンもアミノ酸が必要ですから、肉や魚をたくさん取る必要があります。そしてアミノ酸代謝に必要なのが、ビタミンB群とビオチン。毛根の細胞分裂と頭皮の潤いに大切なのがビタミンA、頭皮の血流に大切なのがビタミンEです。今私はこのように代謝と栄養を科学的に考える分子栄養学にハマっています。理解できたら実践あるのみです。

     

  • 大豆は発酵食がおすすめ

    私が診察時に勧めているビタミンやプロテインなどをしっかりとっていただいていると、体調はぐんぐん良くなります。日頃からの栄養がいかに大切かがわかります。プロテインは牛乳からヨーグルトを作った際にできるホエイを使ったホエイプロテインがおすすめです。大豆から作った大豆プロテイン(ソイプロテイン)もありますが、人の体に必要なアミノ酸を十分含んでいるのはやはり動物性(ホエイ)蛋白質です。ただ、更年期などの女性ホルモンが低下して症状が出ている場合は薬局から大豆プロテインを勧められることがあるかもしれません。大豆には女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンを含むからです。

    しかし私的には男女を問わずホエイプロテインをおすすめします。大豆は納豆や味噌など発酵させたものでとるのががいいと思います。古来から大豆は食べ過ぎると体に悪いので、あまり食べてはいけないものリストに入っています。それを食べられる形に加工したのが日本人の発酵技術です。納豆や味噌なら安全ですが、大量には食べませんよね。それくらいが安全なのです。

    味噌や納豆など発酵した大豆は体を温める性質ですが、豆乳や豆腐などは体を冷やします。豆腐はネギや生姜を添えて体を冷やさないようにして食べますね。マーボー豆腐も豆腐チゲも香辛料いっぱいで体は冷えないようにしています。豆乳はそういったことをしないで冷たくキュッと飲むことが多いと思います。冷え性の人は気をつけましょう。

     

  • 労働市場は売り手市場

    また、月初めでレセプトチェックが忙しい時期です。先月(1月)はインフルエンザの患者さんが多かったため、レセプト枚数が多く、チェックにも時間がかかります。今週末はそれにかかりっきりとなります。さて、来週2月4日からは、熊本電子ビジネス専門学校から医療事務の勉強をしている学生さんが実習に来ます。当院で3週間に渡って医療の現場を体験してもらうことになっています。受付や診察室で見かけたらよろしくおねがいします。若い学生さんですから、将来の金の卵です。大切に育てたいと思います。

    当院の通院患者さんからよく聞くのですが、どこの職場も人手不足が相当深刻なようです。これからの日本は更に人口が減って来ます。高齢者は増えて、若者が減りますから大変です。若い人を雇いたくても無理ですから、シルバー人材に期待するしかありません。それにしても、すでに若い人たちには相当な負担がかかっているようで、夜勤などをしてくれる人手不足は深刻です。シフトに入ってくれる人たちはかなり無理しているので、体を壊さないか心配です。先だっての国会では外国人労働者の受け入れを議論していましたが、タイムリミットはすぐです。

    特に介護現場などでは人がいないため、建物を作っても可動できないようなところがたくさんあります。よほど給料を上げれば人材も揃うのでしょうが、人件費にかけられる額は限度がありますから、厳しいです。私が患者さんにお話できるのは、いまは働き口は探せば結構あるということです。今の現場が嫌なら転職も割と簡単な時代です。売り手市場ですから、なんとかなります。そのあたりに希望を持って頑張っていきましょう。

    江津湖に沈む夕日

  • 骨を丈夫にするには

    以前は骨を強くする(骨粗鬆症の治療)薬はビタミンDしかありませんでした。しかし、最新の骨粗鬆症ガイドラインではビタミンDはファーストラインから外れてしまっています。あまり効かないという認識です。ビタミンDが不足すると「くる病」という乳幼児の骨の病気になります。そこで、ビタミンDを取れば骨が強くなるというのはある意味正しいです。しかし、高齢者の骨粗鬆症がビタミンDで治るとは限らないのです。ビタミンDがあると消化管からカルシウムの吸収が高まります。そこで骨の材料は体内に取り込まれ、弱った骨を修復する条件は一つ整います。しかし、それだけでは十分ではありません。

    体内に取り込まれたカルシウムは血液中を流れますが、それが骨に行くとは限らないのです。腎臓から尿中へ捨てられれば、尿管結石の原因となります。そうなれば災難です。また、血管にカルシウムが沈着すれば、血管の石灰化と言い、動脈硬化となります。心臓の冠動脈などはCTで撮影すると高頻度に石灰化を認めます。狭心症のリスクです。

    では、ビタミンDでカルシウムを体内に取り込んだら、どうすればそれを骨にできるのでしょうか?実は、ビタミンKが必要なのです。ビタミンKは納豆にたくさん含まれるので、納豆を食べていればあまり不足することはありません。また、以前も書きましたが、骨はコラーゲンが鉄筋、カルシウムがコンクリートに相当します。コラーゲンを増やすには肉や魚、豚骨(スープ)、ビタミンCが必要です。それにプラスして、カルシウム(小魚)、ビタミンD(日光浴、干ししいたけなど)、ビタミンK(納豆や青野菜)が必要となります。さらに、骨を丈夫にしなさいというシグナルは骨にかかる重力です。つまり運動をしないと骨は出来ません。「牛乳を飲めば骨が丈夫になる」とか、そんな単純な話ではないことがおわかりいただけるかと思います。

    統計を調べたら、沖縄は骨粗鬆症が少ないそうです(全国2位)。沖縄は日光(ビタミンD)、カルシウム(水がサンゴのカルシウムを多量に含む)、ビタミンC(ゴーヤ)、コラーゲン(豚肉)など全体的に足りているのでしょう。