むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • インスリンで体は太る

    夕方仕事が遅くなり、携帯のワンセグでテレビを付けたら見たかった健康番組があっていました。薄毛対策のあれこれです。たまたまつけたときにはイワシの缶詰に梅干がいいと言っていました。理由はEPA(エイコサペンタエン酸)だと言っていましたが、なぜ梅干しを添えるのかは見損ねました。理由はともかく、検証していた人の髪はしっかり増えていました。面白いですね。私もこのブログで以前髪の毛を増やすために必要な栄養のことをかきました。EPAは微小循環を良くするので頭皮の血流を改善して毛が生えるという話だと思いますが、イワシの代わりに精製したEPAをとったとして、そこまで効果が出るかはわかりません。それは、イワシにはタンパク質が含まれるからです。毛髪はタンパク質で出来ているので、血流改善だけでなく、十分な量の良質なタンパク質が必要です。イワシにはそれが含まれますが、精製したEPAには含まれません。

    私の診察では、多くの皆さんに蛋白質をもっと取るよう勧めています。蛋白を増やすのと同時に、炭水化物を減らしましょう。これはセットです。炭水化物は消化されると糖になります。血糖が上がると、その血糖を下げるためにインスリンが出てきます。インスリンは血液中の余分な糖を体内に取り込ませます。太るということです。実は、糖尿病の治療に用いるインスリンの注射薬やインスリンの分泌を促進するや薬剤はどれも体重を増加させます。糖尿病治療をしながら太らせてしまうというのは皮肉なものです。

    一方タンパク質はたくさん食べても血糖が上がりません。したがって、同じカロリーのものを食べたとしても、それは体重増加にはつながらないのです。実は、脂肪も血糖を上げないので、炭水化物と同じだけカロリーを取ったとしても太りません。太るのはインスリンが関与したときなのです。これまで、ダイエットや糖尿病治療にはカロリー計算が欠かせませんでしたが、常識は変わりました。今や、糖質制限さえすれば、カロリー計算は必要ないというのが新常識となりつつあります。