むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • マラソン後の体のケアには

    いよいよ熊本城マラソンですね。私も開業するまでは毎日ランニングを欠かさず、月に200キロ、年で2400キロを走った年もありました。しかし、開業の準備を始めた頃から、走る時間は取れなくなり、ついには全く走らなくなりました。今はもっぱら通勤のウォーキングです。マラソンに出場する皆さん、頑張ってください。いま私の熱中している分子栄養学でマラソン後のケアを考えてみましょう。まず、筋肉で発生する大量の乳酸が筋肉痛を起こします。肝臓で乳酸脱水素酵素(LDH)が分解してくれますが、LDHが作用するにはナイアシン(ビタミンB3)が必要です。またその周辺でビタミンB1, B2、B6などが必要となります。マラソン中に水分補給はすると思いますが、大量の汗をかきますから、水分だけでなくナトリウム(塩)の補給が必要です。ダメージを受けた筋肉を修復するにはアミノ酸が必要となります。肉や卵などのタンパク質をしっかりとる必要があります。

    マラソンで足がつるのは筋肉疲労ですが、脱水で筋肉の血流が落ちるとつりやすくなります。十分な水分と塩分の補給が足のつりを改善します。漢方の芍薬甘草湯も足のつりに効くのですが、私もフルマラソンで足がつったときに何度となく飲みましたが、焼け石に水でした。よく考えると、筋肉の収縮はカルシウムの働きで、それを緩めるのはマグネシウムです。走っているときの発汗でマグネシウムを失うのも問題かもしれません。沿道のエイド(補給所)で例年「走ろう会」が出しているブースでは味噌汁が振る舞われます。味噌汁には塩分だけでなく豆腐やワカメからマグネシウムも補給できます。足がつるのには最高の栄養となります。

    走ると大量の酸素を必要とします。過剰な酸素は活性酸素となって体を酸化します。酸化は老化です。酸化から体を守るのはビタミンCとEです。走ったあとは大量のビタミンCをとっておくことをおすすめします。活性酸素を除去してくれるSODという酵素はマンガンと亜鉛が必要です。また、マラソン後に打ち上げがあれば、当然お酒が入ると思いますが、アルコールは体を脱水にします。さらに水分を取る必要があります。また、マラソンで溜まった乳酸を分解するため肝臓はフル稼働しているため、お酒を入れてしまうと肝臓の負担はさらに増えてしまいます。このアルコールを分解するアルコールデヒドロゲナーゼという酵素もナイアシン(B3)を要求します。乳酸を分解するLDHもナイアシンを要求するため、ナイアシンが十分ない場合競合してしまいます。したがって飲み過ぎには注意が必要です。

    膝などの炎症で熱を持っているときはしっかりと冷やしてください。湿布を貼るのも効果的です。ぬるめのお風呂でゆっくり体をマッサージするのも良いと思います。

    ガンナム(江南)