むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 骨を丈夫にするには

    以前は骨を強くする(骨粗鬆症の治療)薬はビタミンDしかありませんでした。しかし、最新の骨粗鬆症ガイドラインではビタミンDはファーストラインから外れてしまっています。あまり効かないという認識です。ビタミンDが不足すると「くる病」という乳幼児の骨の病気になります。そこで、ビタミンDを取れば骨が強くなるというのはある意味正しいです。しかし、高齢者の骨粗鬆症がビタミンDで治るとは限らないのです。ビタミンDがあると消化管からカルシウムの吸収が高まります。そこで骨の材料は体内に取り込まれ、弱った骨を修復する条件は一つ整います。しかし、それだけでは十分ではありません。

    体内に取り込まれたカルシウムは血液中を流れますが、それが骨に行くとは限らないのです。腎臓から尿中へ捨てられれば、尿管結石の原因となります。そうなれば災難です。また、血管にカルシウムが沈着すれば、血管の石灰化と言い、動脈硬化となります。心臓の冠動脈などはCTで撮影すると高頻度に石灰化を認めます。狭心症のリスクです。

    では、ビタミンDでカルシウムを体内に取り込んだら、どうすればそれを骨にできるのでしょうか?実は、ビタミンKが必要なのです。ビタミンKは納豆にたくさん含まれるので、納豆を食べていればあまり不足することはありません。また、以前も書きましたが、骨はコラーゲンが鉄筋、カルシウムがコンクリートに相当します。コラーゲンを増やすには肉や魚、豚骨(スープ)、ビタミンCが必要です。それにプラスして、カルシウム(小魚)、ビタミンD(日光浴、干ししいたけなど)、ビタミンK(納豆や青野菜)が必要となります。さらに、骨を丈夫にしなさいというシグナルは骨にかかる重力です。つまり運動をしないと骨は出来ません。「牛乳を飲めば骨が丈夫になる」とか、そんな単純な話ではないことがおわかりいただけるかと思います。

    統計を調べたら、沖縄は骨粗鬆症が少ないそうです(全国2位)。沖縄は日光(ビタミンD)、カルシウム(水がサンゴのカルシウムを多量に含む)、ビタミンC(ゴーヤ)、コラーゲン(豚肉)など全体的に足りているのでしょう。