むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 電子伝達系と鉄分の重要性

    昨日は元素を構成する陽子と電子の話を書きました。私が体の中で電子の流れを気にしているのは、電子伝達系という大切な仕組みです。細胞の中にあるミトコンドリアといういわば発電所みたいな部分で、ATPというエネルギーを作るのですが、ここで電子がやり取りされることがとても大事なのです。

    ちゃんとご飯を食べて、休息しているのに疲れが取れないという人がいます。こういう疲れが取れない人はATP産生が低下しています。ATP産生の材料となるのは糖質と脂質です。どちらも体がエネルギーを作るのに重要です。しかし材料だけではATPはできません。ATP産生の代謝過程でいろんな酵素が作用するのですが、その酵素をうまく働かせるために必要なものがあります。ミネラルとビタミンです。

    特に電子伝達系に関与しているのは鉄、ナイアシン(NAD,ビタミンB3)、リボフラビン(FAD, ビタミンB2)です。それ以外にもB1, B6,コエンザイムQ10, などが重要です。中でも鉄は重要です。電子伝達系の要です。鉄の不足は貧血になると思っている人が多いでしょうが、ミトコンドリアレベルの鉄欠乏は貧血になる以前の問題で、採血でフェリチンを測らないとわかりません。今日患者さんに教えられましたが、旧約聖書には「人体は大地の埃を固めてできている」と書いてあるそうです。大地の埃なら砂鉄のことではないかと思います。それほど体にとって鉄は重要です。