むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 最近のZoom講演’

    新春早々ですが、講演を1月、2月、3月とそれぞれ頼まれたのがあり、準備に追われています。1月の分はもう仕上がったのですが、2月の分がまだ半分です。3月の分はまだ構想もできていません。毎日どうしようと思い悩んでいます。最近は、講演の前に主催者の製薬メーカーからスライドチェックが入り、あれこれ注文をつけられます。私達は勉強のためにいろいろ考えてその成果を披露するわけですが、製薬メーカーは添付文書通りの用法用量、あるいは適応病名を守って講演しないとだめだと堅苦しいことを言ってきます。それなら添付文書をよく読んで使用上の注意を守りましょうでおしまいです。私達が苦労してスライドを作っても意味がありません。先日、忘年会で他の先生にも聞いたのですが、このスライドチェックは本当にやる気を削ぐと同じことを言っていました。製薬メーカーはこんなにがんじがらめに法令遵守を強要し、自分たち業界そのものが窒息しそうなのをわかっているのでしょうか。わたしも、講演会のスライドを頑張って作ってもバカバカしいので、スライドは目次だけにして、あとは漫談みたいに何も使わず話をしようかと思っています。

    最近は、ほとんどWEB講演なので自宅やクリニックから配信します。クリニックからの場合は問題ないのですが、自宅から配信する場合、私は書斎がないのでキッチンから配信します。パソコンの内蔵カメラの性能がいいと、部屋の隅々が写ってしまうので困ります。私の持っている中で一番性能がいいのはiPad Proの内蔵カメラ。すごくきれいに映るので、自宅で講演する際には使いません。一番画質がひどいのが格安ChromeBookです。20年くらい前のデジカメみたいな画質です。これだと、光のあたっている顔だけば写って背景は砂嵐みたいなので心配ありません。性能の良い内臓カメラのパソコンしか持っていないけど「きれいに映らない」工夫をしたいというときは、部屋の照明を落として薄暗くするとばっちりです。逆にきれいに写したい人は自分にスポットライト(勉強用のライトで十分)を当てましょう。ユーチューバーは丸いLEDライトを使います。必須アイテムです。

    あと、Zoomに慣れていれば自分のマイクとカメラを制御してオンオフできるので、会議中発言を求められたときだけ顔出しをして音声も入れます。よくミュートのまま延々喋り、しばらくして音声が出ていなかったことを知り振り出しに戻る人がいます。自分のマイクと画像の状態は常にチェックしておかないと恥ずかしい目に会います。Zoomで今まででいちばんとんでもない状況を目撃したのは、携帯から会議に参加していた人(高齢男性)がいて、自分の画像がONになったままときづかず、トイレに入って用を足しているところを全国中継してしまったというもの。Zoom会議は便利ですが、細かいところをちゃんと使いこなせないとこんな恥ずかしい目に合う事があるという教訓でした。

    健軍神社

  • 太極をとらえることが大事

    夕方仕事が終わり夜空を見上げたら、まさに皆既月食真っ最中でした。辺縁の月光がうっすらと輝いていました。夕食後もう一度見たらほぼ満月に戻っていました。快晴の夜空での天体ショーを楽しめました。中国では月は陰のシンボルです。漢字でも陰を「阴」と書きます。反対はもちろん陽です。陽のシンボルは太陽なので中国語では「阳」とかきます。簡体字は日本人にとって意味不明ですが、このような理屈があれば見てわかると思います。

    先日、東洋医学会がありましたが、九州各大学が一つの症例に対して漢方的な解釈を考え、競い合う討論会がありました。各大学、問題症例が陰なのか陽なのか、虚なのか実なのかという基本的な理解を、いろんな所見から読み取って発表していました。学生さんたちみんな本を読んで勉強しているわけで、実際の臨床経験が乏しいので机上の空論的なディスカッションも見られましたが、大事な陰陽の解釈などはどの大学も間違っておらず、たいしたものだと思いました。

    学生さんたちは症例検討で患者さんの所見や訴えの細かいところを微に入り細に入り検討していました。それは、勉強をする際にはとても大事なことだと思います。しかし、私たちが臨床をする際には逆にじゃま(ノイズ)になると考えます。大筋を大まかにとらえ、患者さんの困っている訴えにポイントを絞って弁証し治療方針を立てなければ、欲張り過ぎたら失敗します。おそらく漢方治療だけでなく何にでも通用することだと思います。

  • WEB東洋医学会でした

    昨日も書きましたが、日曜は朝9時から東洋医学会でした。学会は沖縄で開催されたのですが、WEB配信だったので自宅から参加です。私は午前中のセッションの座長だったので、9時前からパソコンの前にスタンバイして、プログラムを読んで時間配分などの準備をしました。いざ発表が始まってみると皆さんスライドの枚数が多い!6分の発表なので、普通に話せば6枚、早口でも10枚くらいが限度だと思いますが、みなさんその倍位は用意されています。当然持ち時間内に発表は終わらず、質疑の時間が取れません。しかし、学会というのは発表に対して参加者の意見を聞いたり、座長の先生が質問することで旨味を引き出します。ちょうど発表は食材で質疑が薬味みたいなものです。薬味なしに刺身が出てきても美味しくないし、印象にも残りません。時間は押してもなにか一言座長としてピリッと気の利いた質疑なりコメントなりを言わないと形になりません。

    学会は延々夕方5時まで続き、コロナの漢方治療についてたくさん学びました。皆さん忙しい診療のなか、本当によく勉強し、そして自分なりの理論を考え、実行されています。頭が下がります。いつものリアルの学会だと、沖縄で開催されたら少しくらい観光もしたいし、琉球料理を食べにも行きたい。その上飛行機の時間があり、乗り遅れると月曜の診療に差し支える。そう考えると、学会に参加するのはほんの数時間であとは会場をこっそり抜け出して帰るという事になります。ところが今回のようにWEB開催だと、最初から最後まできっちり勉強できます。旅費もかからず、時間的制約も殆どないので、いいことづくめです。

    学会が終わったあとは、世話人のみんなでWEB懇親会でした。九州各地の代表がWEB上に集まり、各自の家や職場でビールやおつまみを片手に学会発表の内容に関するさらなるディスカッションやそれぞれが困っている症例をどう治したらいいかなど、雑談とはいえとても勉強になりました。結局夜9時にお開きとなりましたので、朝9時から12時間みっちり勉強三昧の週末となりました。

  • コロナの後遺症を漢方で治す

    ほぼ1週間降り続いた雨がやっと上がり、日が差してきました。夏にも長雨がありましたが、日がさすとこんなにも心が晴れるのかと思います。今週は雨のせいか頭痛の患者さんも多かったし、血圧が上がった人も多かったです。やはり人も自然の一部ですから、気温や天気に左右されます。世はコロナがひと段落して人の移動が多くなって来ました。夕方など交通渋滞はコロナ前を思い出す混みようです。ちょうど紅葉の季節となり、秋の行楽シーズンですから、観光地も久しぶりに賑わいを取り戻すことでしょう。野外の観光地が混むのは特に心配ないと思いますが、空港や飛行機、長距離バスなどは今しばらく注意が必要かと思います。

    日曜は東洋医学会(WEB)なのですが、コロナの漢方治療をテーマに掲げて計画されていました。ところが、このところの急速な患者数の減少から、学会の僅か数日前に、テーマをポストコロナ(コロナ後)の漢方、後遺症の漢方治療、無症状感染者の発症予防などをテーマにするという、大転換となりました。これも、リアル学会でないので会場の垂れ幕などの準備はいらないし、プログラムもPDFで作ってメールで送るだけなので、直前に変更するという大胆なことが可能となっています。時代は変わったなとつくづく感じます。

    当院でも、コロナ感染後の後遺症の治療を何人かやっています。倦怠感は人参をベースとした処方で改善しますが、中には相当重症で治療に難渋している方もいます。長引く咳は肺陰虚と考えて治療しますが、これもすぐ治る場合と、相当長引く場合があります。心筋炎で不整脈、動悸の場合、炙甘草湯をベースに治療します。いずれも試行錯誤ですが、西洋薬では太刀打ちできないとおもってがんばっています。

  • 心筋炎について

    コロナワクチンで心筋炎が話題ですが、 実際にはインフルエンザなどの風邪を引いたときにたまたま心エコーをして心筋炎が見つかることがあります。コロナウイルスだけでなくインフルエンザウイルス、そしてコクサッキーウイルスなどで心筋炎を起こすことが知られています。最初はただの風邪症状ですが、息切れ、動悸、むくみ、不整脈などがあれば心筋炎を疑います。軽症だと本人も気づかないで自然と治るくらいのものもあり、ひどくなると集中治療室に入院するレベルまで様々です。コロナワクチンはウイルスそのものではありませんが、mRNAを入れた結果、ウイルス蛋白が心筋で発現すればそこで炎症を起こすものと思われます。当院でも、ワクチン接種後に不整脈が悪化したという人が4−5人います。いずれも軽症で、自然経過のうちに落ち着きました。ただ、もしワクチン後に気になる症状があれば、念の為心電図や心エコーを確認しておいたほうがいいのではないかと思います。

    今週は月曜日に漢方のセミナーで講演をしましたが、明日は座長を頼まれています。座長は単なる司会進行ですが、講演が終わったところで適切な質疑をしたり、まとめの発言をしたりする必要があります。そのために、誰より発表の内容を理解していないといけないし、わかりにくかったところはうまく質問して解説を加えてもらわないといけません。

    来月は東洋医学会九州支部総会という学会があるのですが、会場は沖縄です。本来なら現地に行かないと参加できませんが、私みたいに土曜の昼過ぎまで診療をしているとまず行くことはできません。ところが、今回はWEB学会となったので、旅費を使わず、しかも診療のあとからゆっくり学会に参加できます。この学会でも一つのセッションの座長を頼まれているのですが、自宅から座長の仕事をする予定です。ZOOMは素晴らしい技術革新です。