むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 植物性乳酸菌の話

    月曜日、診療のあと急いで帰宅して、東洋医学会九州支部の役員会(WEB)でした。例年だと、4月の今頃の日曜日を丸々一日潰して九大の講堂に集まっての会議でした。遠くは沖縄からわざわざ参加されていました。それが、去年からコロナのおかげでWEB会議となり、日曜を潰すことなく平日夜に90分でサクッと終わる会議となりました。ZOOMの発達は本当に素晴らしいです。リアルの会だと終わったあとみんなで博多駅前の居酒屋で親睦会などあっていたのですが、それがなくなった分、みなさんと雑談することはなくなりましたが、時間も経費も節約できていいことばかりです。

    今日製薬会社のMRさんと話していて、同じようなWEBの話題となりました。最近は就活もWEB、面接もWEBで入社しても親睦会もなし。お互いどんな人なのかいつまでたってもわからないまま、早い人ではもう転職していってしまう。そして、その人の送別会もなし。WEB会議は便利な反面、人間関係がどんどん希薄になってきています。

    話は変わって、植物の表面には乳酸菌がついています。乳酸菌といえば牛乳をヨーグルトにする菌という認識だと思いますが植物性乳酸菌というのがたくさんいます。ぬかづけやキムチが(麹のような種を入れなくても)勝手に発酵するのもその植物由来の乳酸菌のおかげです。そして、植物性乳酸菌は動物性(ヨーグルト)より胃酸に強く腸まで届くと言われています。いい乳酸菌は良い土で育てた野菜についています。有機野菜が多少高くても体にいいのはこういうところにあります。化学肥料や除草剤まみれの、みかけだけピカピカの野菜ではだめなのです。

  • 月経前症候群の治療

    漢方が得意な分野として産婦人科領域があります。明日は熊本産婦人科漢方勉強会で講演を頼まれており、今日は最終的な準備中です。昨日も書いたように講演をするのは慣れているのですが、内容がためになる話でないと貴重な時間を使って聞いてくれる人たちに申し訳ないので、入念に予行をしています。予行とはいえ、声に出して発表練習をするわけではなく、スライドを見ながらそのスライドで言うべきことを何度もくりかえして、本番で言い忘れないようにするための練習です。私が大学院のときに受けた指導で、発表するときには原稿を書くな、読むな、というもの。原稿を読むとどうしても棒読みみたいになって心に響きません。原稿なしで発表すると言葉が素直に入ってきます。一番ダメなのは原稿を書いて覚えて、そらんじて一字一句間違えないように発表するというやり方。発表者が講演の内容より暗記した原稿を必死に思い出しているため、感情がこもりません。

    そういう私が明日発表するのは漢方薬を構成する生薬の基礎理論です。初学者には難解なのですが、こういう基礎をとばしては腕が上がらないので、熱心に勉強される先生たちに考える基本を講義しようと思ったわけです。しかし、その内容をここに書いても仕方ないので、今日は月経前症候群(PMS)について書いてみようと思います。月経前症候群は女性の性周期で月経前には黄体ホルモン期があるのですが、そのときにイライラしたり不安、不眠、頭痛、めまい、吐き気、浮腫などいろいろな不調が起こります。生理が始まるとす~と楽になるのですが、翌月もまた同じ症状を繰り返すというものです。

    婦人科の先生はこういう場合加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などを使うことが多いのですが、その3つだけでは太刀打ちできません。五苓散、苓桂朮甘湯、抑肝散加陳皮半夏、半夏厚朴湯など上げればきりがありません。そして、それだけ漢方を駆使しても症状が取れないときは私は西洋薬を使います。心療内科でよく使う精神安定化剤がとても良く効くので、よそで治療して治らなかったというときはそういう治療を併用することにしています。理論と経験で難しい症例にも一定の成果を出しています。

  • 学会参加の週末です

    今週土曜日は東洋医学会がオンラインで開催されるので、診療のあとはお勉強です。例年、学会といえば、新幹線や飛行機で出かけるだけで疲れてしまって。会場ではスライドを映写している暗い部屋でウトウト、でしたが、この1−2年はオンラインで参加できるため疲れ知らずです。家でコーヒーなど飲みながら講演を聞けば眠気もなく勉強がはかどります。さらに、後日オンディマンド参加もできるので、聞き逃したところも再度勉強できて、学会全体を余すところなく勉強できるようになりました。ほんとうにすばらしいです。

    私は漢方好きで医学部に行きました。高校生時代に漢方の凄さに魅了され、薬学部に進んで漢方メーカーに就職しようかと思ったこともありましたが、結局医学部に進み、漢方専門医となることができました。医学部では西洋医学しか教えてくれないので、卒後研修医時代から漢方を教えてくれる御船の牟田先生に弟子入りして、どんどん勉強しました。その当時の勉強仲間が今あちこちで活躍されています。

    漢方には日本独自の古方と呼ばれる流派がメジャーですが、中国で標準的な中医学とか韓国の韓医学(韓方)とか、いろいろな流派があります。私は中医学をメインに古方とか漢方薬理の理論をくみあわせて独自のやり方で処方しています。したがって、漢方を勉強したいという人が見学に来てもなかなか人に説明するのが難しいのが現実です。

  • 漢方の講演をしました

    コロナの新規感染者数も頭打ちとなり、だんだん平和が戻りつつあります。2月に入り、当院の外来患者さんもしばらく減っていましたが、このところだいぶ戻ってきました。今日は例年通りの数の患者さんに来院いただくことが出来ました。また、先日から書いているようにコロナ後遺症で悩んでいる患者さんもだんだん増えてきました。隔離解除になったものの、通常の内科診療におけるコロナの診療は熱があれば解熱剤、咳があれば咳止め、その程度です。そのくらいなら、その辺の薬局でコルゲンでも買ってきて飲むのと変わりません。咳が止まらない、倦怠感、胸の痛み、不安などなど後遺症にもいろいろあります。当院では、私の得意とする漢方であらゆる後遺症に対してベストの治療法を考えます。悩んでいないでご相談ください。

    今日は、診療の後に漢方の講演を頼まれていたので、診察室のパソコンに向かってWEB配信しました。テーマは便秘と下痢の漢方治療です。どちらも漢方がすごくよく効きます。私の得意とするのは感染性胃腸炎です。たいてい、胃腸炎で内科にかかるとビオフェルミンとか、あるいは抗生剤などを処方されますが、私はどちらも一切使いません。ほとんどの症例を漢方で治します。そして、漢方がすごいのは即効性です。漢方はゆっくり効くというイメージかもしれませんが、びっくりするほどすぐ効きます。早い時は1袋飲んだらすぐ落ち着くこともあります。

    便秘に関しては、漢方の便秘薬は軽いものからかなり強いものまでラインナップがあるので、ほとんどの症例に対応可能です。あまり困った経験はありません。難しいのは、便秘だったり下痢だったり、日によってお腹の調子がくるくる変わるひと。これは一筋縄ではいきません。しかし、おなかの気の不足を補うと調子良くなる場合があるので、やはり漢方はその患者さんをしっかりみて考えると答えが出てきます。4000年の歴史の成せる技です。

  • 頭痛を漢方で治す

    日曜朝、久しぶりにテレビをつけました。「ゲンキの時間」で心不全をテーマにやっていました。私が日頃よく相談されるのが「前胸部がズキズキ痛む」というもの。ちょうど今日のテレビでもやっていました。「それは心臓病の可能性は低いです、おそらく神経痛です」と言っていました。私も同じことを1日に何度か説明します。念のために心電図やレントゲンを撮ることはありますが、「ズキズキ」という表現や「刺すように痛い」と言われれば、神経痛に特徴的な痛み方です。そのほか、テレビでは言ってませんでしたが、深呼吸をしたり、体を捻ったり、咳をしたときに胸が痛む、と言われれば、肺(特に胸膜)の炎症か、肋骨のヒビなどを疑います。肋骨の場合は丹念に肋骨に沿って圧迫刺激をすればピンポイントに痛む所があるのでわかります。このように、胸の痛みでも心臓とは限らないし、痛み方を問診しただけでだいたいの見当がつきます。

    昨日は、痛みと漢方というシンポジウムがあり、参加しました。福岡でペインクリニックをされている平田先生が主催の勉強会です。どこに行っても治らないという痛みを漢方で治されるすごい先生です。私は、痛みに漢方治療もしますが、サインバルタという痛みに効く抗うつ剤やトラムセットという麻薬に近い鎮痛剤も処方しながら和洋折衷で治療することが多いのですが、漢方も頑張ればすごい効果を発揮します。私の診察机にはこの平田先生の痛みを漢方で治す方法を書かれた本を置いています。いわば私の座右の書です。

    今回のシンポジウムは頭痛の漢方治療がテーマでした。当院にも頭痛を漢方で治してほしいと言って来院される方がとても多いので、今回の勉強会はすごく勉強になりました。発表された演題は、実際私が行っている治療とほとんど同じなのですが、少し違うところがありました。その少しが私にとっては大収穫です。明日からの診療でその知識を使って実践していきます。さらにステップアップした効果が期待できます。