むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • アース=地面

    アースといえば地球という意味の英語ですが、電気製品につけるアースというのは感電事故を防ぐために地面に放電する電極のことを指します。医療機器には大抵アースがついていますが、どうやってアースするかというと、コンセントが3極(通常は2極)になっており、3本目がアースです。心電計のように体内の微弱な電気変化を記録するためにはアースがとても大切です。

    そういう人間の体において神経系は電気系統のようなものだし、筋肉も電気的な活動で伸び縮みします。また、体を動かすと体内で摩擦による静電気も発生するし、心拍や胃腸の動きから発生する波動のようなものも存在します。その人体にアースがあるかといえば、答えはイエスです。それは、足です。足から地球に向かってアースされているのです。しかし、現代ではゴム底(絶縁体)の靴をはいて歩き回るので足のアース効果はほとんど期待できません。

    もう一つが、地面の露出しているところが少なく、ほとんどがアスファルトなので、地面の上に直に立つということがありません。もし、おひまなら公園などの地面の上に裸足で立ってみると、いかにアースすることで健康が取り戻せるかがわかると思います。ただ、最近は地面の下に高圧線や下水管が埋設されていることもあるので、どこに立ってもいいというわけでもない気がします。最近私がきがついたのは、犬の散歩中に近所の小さい公園に立つと、とても気持ちがいいのです。これは、靴を履いたままですが、なんとなくそこにしばらく立っていたい気分になります。皆さんのお近くの公園でもそういうスポットがあるかもしれませんよ。

  • 寝酒は良くない

    眠れないということで来院される患者さんは多いですが、中には、寝るためにお酒を飲むようにしたけど寝てもすぐ目が覚めます、という方が結構おられます。お酒が好きなら別ですが、ただ単に寝るためにお酒を飲むのはお勧めできません。

    悪い理由はいくつもあります。まず、お酒は睡眠薬に比べてはるかに肝臓によくありません。そして、習慣性があり、睡眠薬と同じくらいやめにくいものです。また、お酒を飲んで寝た際の睡眠は眠りが浅く、アルコールが切れて来ると深夜に目が覚めてしまいます。熟睡できず眠りが浅いので、疲れが取れません。

    最近の睡眠薬は以前のものよりかなり改良されていますので、お酒よりはよほどましなものです。また、睡眠薬には寝つきを改善するものや中途覚醒を改善するものなど色々な強さと作用の長さの薬があります。自分にあった薬を適切に処方してもらうことをお勧めします。また、抗うつ剤だけで眠れるようになる場合があります。抗うつ剤は眠りの質も改善しますが、お酒との相性が良くありませんので、くれぐれも注意していただきたいと思います。

     

  • 読書の一日

    お盆休みで久しぶりに仕事から離れてのんびり過ごしています。今回の連休では、獨協医科大教授の井原裕先生の著書「うつの8割に薬は無意味」という本を読んでいます。日頃の私の診療に通じるところがあり、とても考えさせられます。

    私たち心療内科を標榜する医師としては、治療の中心は薬物療法です。カウンセリングに時間を取っていては、一日に診察できる患者さんは限られてしまいます。初診ではじっくり時間をかけてうつになった背景などを聞いて治療の方針を立てていますが、2回目以降は出した薬の効果を確認し、次の処方を考えます。実際、カウンセリングに時間をかけている暇はないのです。しかし、これでいいのだろうかとも思っていました。私の場合、漢方を併用して体質そのものにもアプローチしていますが、井原先生によると、うつの多くは生活習慣病だと説明されています。

    確かにそう言われてみればその通りです。仕事でのストレス、不規則な仕事、残業、睡眠不足、食事もする暇がない、そのような人にどれだけ薬を使ったとしても生活習慣を正してもらわない限り治り様がないのです。うつの患者さんは私たち主治医や処方された薬で治ると思ってはいけません。自分でも生活習慣を変えてもらう必要があります。治すのは自分であるという自覚がないと、いつまでも薬を続けなくてはいけないというわけです。

  • 誤嚥予防には辛い食べ物

    たけしの家庭の医学という番組があります。毎週見逃さないように楽しみにしています。他の健康番組と違って、かなりきちんと調べてあると思います。奇をてらったり、脅かしたりすることなく、科学的な検証に好感が持てます。今回のテーマの一つに誤嚥性肺炎がありました。以前から誤嚥の予防には辛いスパイスがいいと言われており、私も患者さんには辛いものを勧めていました。今回の番組では、嚥下に関係する反射にはサブスタンスPが必要だが、誤嚥しやすい人はサブスタンスPが減っており、カプサイシン(唐辛子の辛味成分)がサブスタンスPを増加させて誤嚥を改善する作用があると説明していました。その通りです。

    番組では、嚥下の悪い人に一週間辛い食べ物(カレー、唐辛子のきいたパスタ、ピリ辛味噌ラーメンなど)を食べてもらっただけで、誤嚥が劇的に改善しました。とても興味ある結果です。こんなに早く改善するのですね。最初の数日は辛いものを食べるとむせたりするのですが、3日もするとむせなくなっていました。奇しくも私は韓国風大辛ラーメン(インスタント)を買い込んで、しょっちゅう食べています。

    見渡すと、韓国は辛いキムチ、中国は四川の辛い麻婆、タイ料理は全部辛い、インドのカレーもマレーシアのカレーもベトナムのカレーもあります。日本にもカレーはありますが、毎日辛いものを食べる習慣はありません。もっと唐辛子を食べる習慣をつけたほうが、肺炎予防にいいようですね。

  • 食事は毎日のバランスが大事・・ではないと思う

    食事のバランスをとやかく指導するのは昔から内科医の仕事の一つでした。しかし、私が思うに、栄養学は学問の中でもっとも未熟であてにならないものだと思います。私個人としては、全く信じていません。栄養士を雇って糖尿病患者さんに栄養指導をすると、それなりの収入になるのですが、私は個人的には役に立つ代物ではないと思うので栄養指導はやっていません。例えば、貧血の患者さんに鉄分を多く含むほうれん草を食べましょうと言います。最近サラダホウレンソウというのがありますが、アクがなくそのまま食べられます。しかし全く鉄の気配がしません。あれは水栽培で何の栄養価もないと思います。私の場合、患者さんには鉄製のスキレット(小さなフライパン)で料理するように勧めています。南部鉄のやかんでお湯を沸かすのもいいですが、重いです。

    そして、毎日バランスの良い食事をするように言われますが、そんな必要はないと思います。おそらく、1週間くらいの間でバランスをとればいいのではないでしょうか。だいたい、歳をとると少食になります。ちょっと食べれば満足するので、肉、野菜、果物、海藻、キノコなどを毎日満遍なく食べようとすると、かなり困難です。そんな無理しないで、肉を食べる日、野菜を食べる日、という風にして、1週間でバランスを取れば、毎日の負担が少なくなります。

    ほとんどの動物は偏食です。肉しか食べない動物、草しか食べない動物、いろいろいますが、雑食動物は案外少ないと思います。文明(弥生時代)以前の人間は食べられる時に食べられるものを食べていたはずです。木ノ実、穀物、果物、貝そしてたまに肉や魚。そういう風に体はできていると思います。もし私たちが30種類の食材を毎日とらないと生きていけないような動物なら絶滅危惧種です。(あくまで私見です)

    日中は暑いですが、夜は涼しい風と虫の音が秋を感じさせますね。