むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • カルテにたくさん書く

    当クリニックは電子カルテですが、患者さんからの情報をとにかく詳しく打ち込みます。いつからどうなったかとか、どうすれば調子が良くなるか、何がきっかけで調子が悪くなったかなどなど。また、他のクリニックにかかっている情報や過去の病歴のことなどもできるだけ聞いた情報は書き込みます。

    電子カルテには定型文を簡単に打ち込むツールがあるので、それを使えば紋切り型のワンパタンの文章が短時間にどんどんかけます。しかし、インフルエンザの予防注射ならそんなワンパタンのカルテ記載でいいのですが、難病の方や心療内科系の患者さんだと、それぞれのエピソードで聞き出す情報が多いため、それを書きとめておく必要があります。版を押したようにパタンで書ける文章ではないのです。

    詳しく書くのには時間がかかりますが、後で読み返したときに状況を思い出します。また、その場にいなかったナースや事務員さん達も記載を読むことで患者さんの背景や来院の理由がわかりますし、私がどう判断してどのような処置をしたのかまで一瞬で把握できます。これは紙カルテではなかなかできません。紙カルテにたくさん書こうとすると、どうしても字が雑になり、他人が見ても判読しづらいものになります。カルテは後で清書するようなことはしませんので、永遠にその雑な字で書いたページが残ります。書いたドクター以外にはよく分からない、場合によっては書いた本人さえ判読できないというのはよくあることです。それを考えると、電子カルテは本当に便利です。

     

  • 紫外線は眼に悪い

    車海老のアヒージョを作った話を昨日書きました。食べ終わったスキレットの中にはエビとニンニクの香りがついたオリーブオイルがたっぷり残っています。パンにつけてもいいのですが、うちにパンがなかったので、日曜のランチにパスタを茹でて、このオイルを絡めてみました。彩りにパプリカと小松菜を入れてパルメザンチーズをかけて出来上がりです。うーん、美味しかったです。

    今週の日曜もいい天気だったので、江津湖周辺を11kmランニングしました。冬とはいえ、紫外線が強いので、ランニング用のサングラスをしました。紫外線は日焼けの原因として知られていますが、目にも悪いのです。目のレンズに当たると白内障を起こします。白内障とはレンズが濁ってしまう病気で、一種の老化現象です。お年寄りが目が見えなくなってレンズを入れ替える手術をしたらものすごくよく見えるようになった、という話をよく聞きますが、これが白内障です。白内障の原因の一つが紫外線であるとわかっていますから、これは予防可能です。紫外線をカットするきちんとした規格のレンズを使ったメガネやサングラスを使うべきです。それから、レンズの明るさはあまり暗くないように。暗いレンズをかけると目の瞳孔が開いてしまいますから、かえって紫外線が目に入ってくる可能性があります。明るめのレンズだと、その心配はありません。紫外線カットレンズでほとんど色が入っていないものはわずかに黄色味をおびています。これが一番オススメです。通常のメガネですと、メガネ屋さんでHOYAなどの紫外線カットのメガネを探すと、すぐに見つかると思います。スポーツ用サングラスも表示を見て探せばきちんとしたものがたくさんありますよ。

  • 食と健康の都市伝説

    食と健康は切っても切れない関係ですが、それがゆえにいろんな都市伝説があります。

    例えばビールのプリン体。尿酸が高い人は痛風になるので、尿酸が上がらない食生活が大事です。プリン体は体内で代謝されて尿酸になるので、プリン体をカットしたビールがいいと言われています。しかし、アルコールそのものが体内で代謝される際に尿酸になるので、プリン体をカットしても尿酸は上がります。ビールは特にプリン体が多いのですが、もともとあまりプリン体を含まない焼酎や日本酒でも尿酸は上がります。つまり、尿酸が高い人は節酒しないといけないのです。

    次に、ひじき。ひじきは鉄分が多く、貧血に良いと言われてきました。ひじきの料理に含まれる鉄分を分析した何十年も前のデータが再検査されずにずっと伝説のように言われてきたものです。最近測り直したら、ひじきにはあまり鉄分が含まれていないことが判明しました。結局、昔測った際にはひじきをサンプルとせず、「ひじき料理」をサンプルとして測ったのですが、ひじきを料理する際に鉄の鍋で炒めたために鉄分が多かったようなのです。したがって、現代テフロン加工のフライパンでひじき料理をしていたら鉄分は入ってきません。逆に、鉄の鍋を使って料理すればひじきでなくてもふんだんに鉄分が取れるわけです。私は、ホームセンターに売ってある小さな鉄製のスキレット(キャンプで使うようなフライパン)を料理に使います。一人用のちょっとした炒め物などに便利です、しかも、テフロン加工のフライパンより熱くなりますから、IHのように火力が弱い場合でもかなり高温で料理ができます。鉄分が料理に入るのは一石二鳥です。

    話題はそれますが、スキレットに新鮮なエビとたっぷりのオリーブオイルとハーブソルト、ニンニクを入れてちょっとだけ煮込んだ感じに加熱するとエビのアヒージョの完成です。美味しい!今の季節、牡蠣やキノコ類もアヒージョにぴったりです。もちろん余ったオイルはフランスパンにつけて食べると絶品です。店で食べるアヒージョはちゃんとオリーブオイルが使ってあるのかかなり怪しい(きっとサラダ油でしょう)ですが、自宅で作れば間違いないです。オリーブオイルでなければこれだけの油料理は体に毒です。家庭で簡単にできます。ぜひお試しください。これも、小さなスキレットがあればこそです。

  • 薬の作用・副作用

    薬は薬であるからには作用があり、副作用があります。これは物理でいう作用・反作用と同じです。ものを押す力があれば、それを押し返す力がある。世の中すべてそういう原理です。

    ところが、漢方薬は食品に近いため副作用が少ないです。桂枝(シナモン)、生姜(しょうが)、大棗(なつめ)、葛根(クズ)、山薬(やまいも)、陳皮(みかんの皮)、枳実(ダイダイ)などが材料になります。どれも台所にあったり、スーパーなどで手に入る食材の一種です。これらを組み合わせることで一定の薬効を発揮するのです。それには、組み合わせ方とその配合比率が重要で、2000年の歴史の中で人類が見出した知恵です。

    しかし漢方薬にも上に挙げたようなほとんど食品で害のないものから、トリカブトのように間違うと命を奪いかねない毒薬を薬にしたものまでいろいろあります。それらを上薬(害のないもの)から中薬、下薬(作用は強いが害があるもの)と分類したのが2000年ほど前に出版された神農本草経という本です。私たちはその知識を生かして漢方を処方しているのです。その本がすでに2000年前に完成していた事実を考えると、そのまた2000年くらい前からの経験の積み重ねの集大成であると考えられるので、中国4000年の歴史、というわけです。

    それを考えると、新薬は下薬中の下薬です。どれも作用は強いが副作用も大きい。それを知りながら使わないといけないと思います。例えば自分が血圧の薬、糖尿の薬、むくみを取る薬などいろいろ処方していて、患者さんがあるとき調子悪いと言ったとき、さらにその症状(例えばムカムカするという症状)に対してそれを抑える薬を追加する(例えば吐き気止めを出すとか)のは最後の手段であるべきで、今自分が処方している薬のせいで何か有害事象が起こっていないかと考えるべきだと思うのです。でも、薬を減らすのは増やすのよりはるかに難しいことです。

     

     

  • 寒さと高血圧

    冬は血圧が上がりやすい季節です。今日みたいに寒くなってくると、血圧上昇に注意が必要です。寒くなると血管は体温を奪われないように縮んでしまいます。その結果、血管抵抗が上がるため血圧が上がるのです。もう一つは、塩辛い食べものは体を温めますから、寒い日はどうしても塩分を取りすぎる傾向にあります。そうすると、塩分の影響で血圧が上がります。

    何れにしても、これからの寒い季節は高血圧が悪化しやすいので注意が必要です。一番大事なのは、朝の血圧です。たいていの場合、朝食後に血圧の薬を飲みますから、朝の薬を飲む直前が一番血圧の薬が切れている時間帯で、血圧も上がりやすくなります。また、寝ている状態から体が起きて活動を始めるために自律神経の副交感神経から交感神経に入れ替わる時間帯が早朝ですので、その時間帯が血圧も上がりやすいと言われています。したがって、家庭血圧を測る場合は、朝起きてからトイレを済ませたくらいのタイミングで測るのをお勧めします。朝の薬を飲んでからしばらくすると血圧も下がってきます。運動後や入浴後は血管が拡張しており、血圧が下がります。

    もう一つ注意が必要なのはトイレやお風呂です。リビングやキッチンは暖房をして快適にしていても、トイレやお風呂や脱衣所が寒いとそこで血圧が急上昇することがあります。脳卒中はそういう場所で起こりやすいので家の中の温度差には気をつけましょう。

    当クリニックでは、待合ロビーのトイレが寒くならないようにトイレ用の小さな遠赤外線ヒーターを入れています。最近のこの手の機械は優れていて、人の出入りがあるときは設定した温度まで加熱し、人の出入りのなくなった夜間などは自然と設定温度より下がる仕組みになっています。でも、朝一番に出勤してから待合トイレの温度を見てみると暖かいので、よくできているなーと感心します。

    クリニック前のオタフクナンテンが綺麗に紅葉しました。南天は「難を転じる」という意味で縁起物らしいです。当院の設計を担当したGATさんが、クリスマスの頃に真っ赤に紅葉すると、外壁の白とコントラストで紅白になって縁起がいいですよと言われ、すごくたくさんのナンテンを植えてもらったのですが、真夏の炎天下に植栽して、よく枯れずにここまできました。そういう意味でも縁起物です。