むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 中医学会二日目参加

    昨日に引き続き、中医学会に参加しました。熊本で皮膚科で漢方治療を実践されている牧野先生による講演や、体の歪みを操体法というセルフ整体のような方法で治療する久光先生の講演がありました。それぞれ、その道数十年の経験から貴重な講演をいただきました。私たち医者を大きく二つに分ければ、大学をはじめとする教育者と実地でひたすら臨床に携わる臨床家に分けられると思います。たいていの講演会では大学教授をはじめとする教育者の講演ですが、今日の講演のお二人はどちらも臨床家です。朝から整理券をもらっても診察は夕方というレベルの混み合いです。こういう経験に基づくお話をいただけたのは大変貴重であり、私たち臨床家にとってすぐに役立つアイディアに溢れていました。

    一方、中国、香港、台湾などからの参加者も多数いて、講演も中国語(通訳付き)というのが多数ありました。こう考えると、やはりこれから日本で国際交流をするには英語だけでなく中国語を勉強しないといけないな、と思います。政治や思想的には近隣諸国とは色々ありますが、学問の世界の国境はありません。言葉がに壁があると情報が入ってきませんから、まずコミュニケーションだと思います。

    今後日本の人口は激減します。国力を維持するには外国人に入ってきてもらうしかありません。とりわけ医療、介護の分野はロボット化できません。マンパワーが全てです。それを見越せば、私たちにとっては中国語が必須の時代がすぐそこのように思います。

  • 中医学会

    漢方を専門とする人の大半は日本漢方が専門です。その学会は日本東洋医学会と言います。私も入っています。一方、中国医学は日本漢方とは別の流派として存在しており、日本中医学会という学会があります。今日はその中医学会の全国大会が熊本で開催されました。台風直撃が危ぶまれましたが、奇跡的に雨は降らず、無事に初日が終了しました。

    実は私は漢方を勉強し始めた25年くらい前についた師匠が中医学が得意だったので、ずっと中医をベースに勉強してきました。今日の学会ではその当時の師匠もご健在で、さらに東京などの重鎮の先生方も熊本に来られていました。みんな20年来のお付き合いですが、10年ぶりくらいにお会いしました。私は開業する前は大きな病院で透析担当医だったので、全く休みがなく遠方の学会には滅多に行けませんでした。そして、開業してみると、さらにいそがしく、専門医を更新するのも困難なくらい熊本から出ることは不可能となってしまいました。そんな中、学会が熊本で開催されるのは本当にラッキーでした。

    懇親会でお隣におられた方にご挨拶したら、なんと私が鍼治療の座右の本にしている藤本蓮風氏のご子息でした。この先生も雑誌で見たことのある超有名人です。ラッキーにもお会いできてうれしかったです。こういう超有名人と交流できるのが座学と違って学会参加の醍醐味ですね。

  • アレルギーの季節です

    秋はアレルギーの季節です。春の花粉症もありますが、秋の花粉症もあります。また、気温が下がってきて風邪も引きやすいので、注意が必要です。喘息もこの季節増えてきます。アレルギー体質の人にとっては油断できません。

    台風が近づいていますが、不思議なもので、喘息や片頭痛は台風の接近で悪化します。予測がつくのでそぶんいいかもしれませんが、もしそういう体質なら準備したほうがいいと思います。喘息の場合、最近は吸入治療薬がよく効きますから、日頃サボり気味でも、この季節はきちんと吸入しておくことをお勧めします。

    片頭痛の場合、五苓散がよく効きます。気圧が下がってきたら早めに飲んでおくと頭痛が予防できるか、軽くて済みます。ただ、片頭痛は起こってしまうととても辛いので、トリプタン製剤を早めに使うことも大切です。台風が近づいていますので、くれぐれもご注意ください。

  • 適応障害と抑うつ

    私たちのような心療内科を標榜するクリニックにくる患者さんは抑うつ状態の方が多く、昔から精神科で扱うような難しいうつ病とは病態を異にします。多くの場合、いわゆる適応障害に伴う抑うつ状態です。適応障害というのは会社などの環境にうまく適応できずに気分が落ち込み、不眠、頭痛、吐き気などがあるといった状態です。原因としては、大きく分けて職場環境要因と自分自身の要因の2つに分けることができると思います。

    職場環境による適応障害は、過重労働によるものが多いと思われます。震災後むちゃくちゃ多忙、残業が多い、同僚が辞めたぶんのしわ寄せ、などが多いですが、理解のない上司、取引先からの無茶な要求などもあります。一方、自分自身の要因としては、要領が悪い、何度もミスをする、指示されたことを正しく理解できない、仕事がはかどらない、疑問点を同僚や上司に相談するのが苦手、などなど様々考えられます。

    こういう状態で抑うつ状態になった患者さんに、「◯ケ月の静養を要す」と診断書を書いて休ませるべきかどうか、いつも考えます。当然、過重労働が原因となっている場合、休養が最も大切です。しかし、自分の要領が悪いとか、コミニュケーション能力が十分でないことが原因で職場でうまくいっていない場合、果たして自宅療養が治療になるのでしょうか。もちろん、すごく落ち込んできついときは休みを取るべきです。しかし、まだ元気が残っていて、仕事にも行けるような場合、強制的に休みを取るのではなく、上司や同僚に相談したり、自分の問題点を解決する工夫をしながら少しでも勤務を続けたほうがいいのではないかと思っています。もし会社を辞めて転職しても、自分の方に問題があればなんら解決になりませんから、また上司から睨まれてうつになる、という繰り返しが予想されるのです。患者さんにとって何かベストか、というのは本当に個別対応であり、パタン化できないと思います。

    台風前の真っ赤な夕日・クリニックの駐車場にて

     

  • 仕事を得るのに大事なこと

    アメリカで仕事を得るのに学歴は関係ありません。東大を出ていようが熊大を出ていようが関係ありません。大事なのは、コミニュケーション能力と何ができるかということです。とはいえ、何ができるかを証明するのは難しいことです。我々医師が研究者として留学先を探すなら書いた論文の数やその論文の評価(インパクトスコア)が大事になります。臨床家として職を得ようとすれば、これまでの手術件数などが評価されるかもしれません。

    一方、駆け出しで人様に見せるほどの実績を伴っていない場合も、アメリカでは正当に評価してくれます。ソフトバンクの孫正義さんの半生を見聞きしたことのある人ならご存知と思います。大きいことをいきなりすることはできませんが、自分のできる範囲で少しずつでもキャリアを積むことが大切です。何かを作って売る、品評会に出す、なんでもいいのです。アクションを起こして小さい評価をコツコツと得ることです。それを元に大きなプロジェクトを考え、企画書を書いたりすればいいのです。

    あとは人脈です。会いたいと思う人には会いに行けばいいのです。Facebookなど使えば、友達の友達を6人くらい経由すればアメリカ大統領にも到達できることがわかっています。目標を持って行動を起こした人にだけ道は開かれると思います。アメリカのことを書きましたが、最近は日本もほとんどアメリカと似た状況だと思います。