むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖質制限とケトン体

    糖質を制限する炭水化物ダイエットは、ケトン体と関連があります。ケトン体というのは、体の中に糖分が不足した際に脂肪がエネルギー源として利用されると出てくる物質です。例えば、感染性胃腸炎で食べられなくなったり、妊娠初期につわりがひどい時など、糖質が少なくなった結果、体に蓄積された脂肪が燃焼しますからケトン体が発生します。これまで、私たちの常識ではケトン体が出たら栄養状態に問題があるので急いで点滴などで水分と糖質を補うように習ってきました。

    一方、糖質制限のダイエットでは極力炭水化物を制限しますから、自然と体の脂肪が燃焼してケトンが出てきます。ただ、糖質制限ダイエットをしてケトンが出ても、健康面には問題ないようです。これは、最近いくつもの書物を読んで調べたのですが、間違い無いようです。これまでの医学常識を覆す、新常識です。

    炭水化物をアミラーゼで分解して糖にしたものをエネルギーとして燃焼させても少ししかATPは産生されませんが、食べた糖を一旦中性脂肪の形で体に蓄積して、必要な時にケトン体としてクエン酸サイクルで燃焼すれば、大量のATPが得られます。したがって体に有利なのは糖をエネルギーとして利用するのではなく脂肪を利用する方です。しかし、日本人の食事は糖質に偏っているため、エネルギー産生の小さな解糖系ばかりが働いて疲れているようです。元気を出すには、十分量のタンパクと脂肪をとり、炭水化物を減らすことです。また、クエン酸サイクルを活発にするためにはビタミンをしっかりと補うことが大切です。

     

  • インフルエンザ流行期入り

    いよいよ師走ですね。ニュースを観ていたら、熊本県下はインフルエンザの流行期に入ったそうです。例年より3週間早いとのことです。当院でも、今週に入って毎日インルエンザが出ています。今日は2名です。みんなインフルエンザA型です。今年はワクチンの製造に失敗しており、途中で予定を変更したため、ワクチンが全然間に合いませんでした。化血研のせいではありません。私の知る限り、このようなことは初めてです。

    例年より早く流行り始めたことと、去年、おととしの2年間は流行が軽めだったことから、今年は大流行するかもしれません。十分気をつけましょう。インフルエンザはマスクをしていても予防できません。ウイルスはマスクの繊維の穴よりはるかに小さいからです。ただ、ウイルスが体に入っても、体力があればかかりません。まずは体力をつけること、免疫力をアップすることです。

    栄養をとる。睡眠をとる。過労を避ける。くよくよ悩まない。ストレスをためない。部屋を暖かくして加湿する。こまめに手を洗う。むやみに目、鼻、口を触らない(このためにはマスクは意味があります)。ビタミンB群とCを十分とる。ねぎ、にら、にんにくなどを食べる。風呂でよく温まる。寝冷えしないようにすぐに寝る。薄着をしない。人混みを避ける。乾布摩擦をする。こういった生活の工夫で免疫がアップして感染を避けられます。それでも心配なら、免疫をアップする漢方薬もありますよ。

  • 炭水化物ダイエット中

    ただいま、私は糖質制限中です。そうは言っても、糖尿病ではないのでさほど厳しいものではなく、できるだけ減らしていると言った感じです。糖の原料となる炭水化物を取らないわけですから、おそらく血糖は結構低いと思います。炭水化物を制限すると、痩せる効果がてきめんです。これは、患者さんたちに炭水化物制限をするように勧めると、あっという間に痩せるので、間違いありません。高血糖は動脈硬化の原因となりますが、骨も糖化してしまい、もろくなります。骨折の頻度が上がるそうです。タンパクの糖化というのは料理でよく見かけますね。例えば鶏肉を甘い醤油だれで煮込むと肉も骨も糖化して茶色く変色します。そして、肉や骨は柔らかくなります。

    糖尿病の人はこの糖化現象が日々進行するため、血管も骨もボロボロになります。いったん糖化したら元に戻りません。料理した鶏肉が元の肉に戻らないのと同じ理屈です。糖化させないこと、つまり、血糖を上げないことが大切です。

    そして、私が炭水化物ダイエットを始めていいのが、仕事中ほとんど眠くならないことです。ご飯を食べれば眠くなりますよね。食べなければ眠くならないのは当たり前といえば当たり前です。

  • スーパードクター

    テレビを見ていると、全国には本当に腕のいいスーパードクターがいますね。皆さん患者さんの悩みを魔法のように解決して、素晴らしいです。私も、このような名医の紹介番組はよく見ています。とても参考になります。どのドクターも単に名医であると片付けてしまってはいけません。私は同業者として、これらのドクターがいかに現在のスーパードクターと言われるに至ったかというところにも興味があります。そういう目で見ると、第一にみなさん手先が器用です。ものすごく繊細な手術をいとも簡単にやってのけられます。これが第一条件です。そして、患者さんを思う気持ちに妥協のないところです。他の病院で原因がわからないとか、手術できないと言われたら、さらに闘志を燃やして頑張るようなタイプの人ばかりです。

    器用なことが第一条件と書きましたが、患者さんを思う気持ちと努力がなければその器用さは活かされません。逆に、患者さんを思う気持ちがたくさんあっても、手先が不器用だと治療はうまくいきません。その条件がバッチリ備わった人こそスーパードクターとなるのでしょう。

    テレビでスーパードクターと放映されてしまうと、その病院には全国から患者さんが殺到しますから、当分はむちゃくちゃ忙しくなり、大変な目に合うと思います。それを承知でテレビに出て惜しげも無くその腕を披露していただけるのはありがたいことです。江戸時代であれば、そのような名医と呼ばれる人には門下生として弟子入りして、何年も丁稚奉公をしないと教えていただけなかったものです。門外不出として、門下生以外には口止めされていたはずです、それを思うと、我々は家でご飯を食べながらスーパードクターの技を学べるなんて本当に恵まれています。

    熊本空港

  • COPD

    COPD(閉塞性肺疾患)という病気があります。肺気腫といったほうがわかりやすいかもしれません。喘息も似たような病態ですが、COPDの多くは喫煙と関連しています。月曜の夜はCOPDの勉強会に参加しました。以前はCOPD にはあまり治療法がなかったのですが、最近はいろいろいい薬があります。どれも吸入薬で、まだ内服薬はないのですが、そこは慣れるだけです。抗コリン剤、気管支拡張剤、ステロイドなどの吸入薬ですが、合剤もいろいろあり治療法はかなり進歩しています。

    COPDになると、少し動いただけで息切れします。息を吸えてもうまくはけないというのが特徴です。口すぼめ(ストローをくわえたように口を小さくすぼめる)により息が吐き出せます。そういった呼吸法の訓練も有効なのですが、文献的には呼吸リハビリの効果は限定的のようです。

    一方、吸入薬はかなり有効性がはっきりしているので、COPDと診断されていながら治療をせずに諦めている場合、是非吸入を試してみてはと思います。しかし、それより何より禁煙です。最近、電子タバコが話題です。電子タバコは水蒸気にタバコのフレーバーを入れているだけだから大丈夫、という意見が多いですが、本当に問題ないかどうかは今後の検証が必要となります。ただ、私が思うに、通常の紙タバコよりはマシではないでしょうか。