むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 風邪にはビタミンC

    この2-3日風邪気味でしたが、回復しました。ビタミンCを毎日3000mg、ビタミンEを400IUその他いろいろ取りましたが、ビタミンCのおかげかと思っています。ビタミンCは活性酸素を消去し抗炎症作用を発揮します。炎症の強さに応じて必要なだけのビタミンCを取ればいいのですが、私の飲んでいるDHCのビタミンCには1カプセルにレモン33個分と書いてありますから、とても食品て摂取できる量ではありません。サプリに頼る他ありません。ビタミンEはCと共同して働きます。ビタミンCが活性酸素を消去する際にビタミンC自身が酸化されてしまうのですが、ビタミンEはそれをもう一度元の姿に戻してくれるのです。

    話は変わって尿酸をご存知ですか。痛風を起こすと尿酸値をはかり、高ければこれが原因だと言われるアレです。お酒を飲みすぎたり肉料理を食べ過ぎたりすると尿酸が上がります。痛風が贅沢病と言われる所以です。しかし、なんとこの尿酸にはビタミンCより強力な抗酸化作用があると言われています。痛風の発作では関節でとんでもない炎症をおこすのに尿酸には抗酸化作用があるとは不思議なものです。おそらく関節腔内で結晶化するといけないのでしょうが、血液中で流れているとビタミンCに似た働きをするのでしょう。

    そのことを知って以来、私は尿酸を下げる薬を使う際には尿酸を下げすぎないように気をつけています。悪い尿酸は下げれば下げるほどよいと思いこんでいますが、それは間違いです。体にあるものはそれなりに必要性があり、下げ過ぎはいけません。コレステロールもしかりです。

    手前は増上寺(徳川家のお寺)、向こうに東京スカイツリー

  • 自分で色々実験する

    先日から書いているように、私は冬場になると乾燥肌が痒くなって困っていました。以前から漢方入浴剤を色々作っては試し、自分のかゆみがとれるレシピを考えました。その入浴剤は、肌もすべすべになるし、アロマ効果もあるので、とても気に入っています。当院向かいの凌雲堂薬局にて販売しています。冬のこの寒い時期にぜひおためしください。私は毎日何十人という風邪の患者さんを診察しますがそうそう伝染りません。そうはいえ、軽い風邪は年に1-2回引きます。その時は、私にとって格好の実験のチャンスです。私はちょうどこの数日少し風邪気味だったので、この際に試したかったビタミンCによる風邪治療をはじめました。朝食の前後で1gずつ、昼食の前後でも1gずつそして夕食後と寝る前に1gずつ、合計6000mgのビタミンCをとりました。

    通常のビタミンCの用量は1日1000mg程度ですからその6倍をとった計算ですが、物の本によると、風邪のときはビタミンCの消費が進み、その需要量も10倍位になるそうです。その通りなら1日10-20gのビタミンC摂取もありということです。できればそこまで試してみたいと思っています。また、漢方は、板藍根と霊芝を飲んでいます。今回は葛根湯とかそんなありきたりの漢方は使わずにどこまで治療できるかを試しています。

    ところでインフルエンザが猛威を奮っています。なかにはタミフルを予防的に使いたいという希望があります。タミフルはインフルエンザ患者さんとの接触が濃厚で予防投与のメリットがある場合に使用することが認められています。当院でもそのような希望の場合処方していますが、予防投与は保険が効きませんので、全額自費となります。

     

  • 乾燥性皮膚炎の新しい治療法

    じつはこの週末は東京に勉強会に行っていました。一日遅れれば、雪で帰れなくなるところでした。今日は東京に住む子どもたちからは雪の積もった写真がLINEで送ってきました。すごい雪です。交通が麻痺すると、何かと大変なことになります。温暖化の末の大雪とは皮肉なものです。みなさんも交通安全でいきましょう。

    ところで、昨日のブログで書きましたが、冬の乾燥肌が痒くて仕方ない乾燥性皮炎ですが、私の場合は塗り薬でなくビタミン剤の内服1週間ほどで驚くほど改善しました。たまたまビタミンを飲んでいるうちに治ったので、なぜ治ったかをいろいろな文献を調べて理論的背景を考えました。そして、ついに全貌を説明できるだけのメカニズムがだいたいはっきりしました。あとはそれを検証するだけなのですが、なにしろ自分の皮膚のかゆみはすっかり良くなったため、再実験ができません。有効と思われる薬剤は最有力候補が2つ、その次の候補が1つ、そして補助的なものが2つの合計5剤です。いずれもビタミンなどですから副作用は全く心配ありません。5剤全て使えばすごく効くのですが、1つか2つの薬剤でいけると思います。あとは、患者さんごとに欠乏している物質が異なると思われるため、そのあたりを考えながら処方するだけです。

    今日の外来ですでに3人の患者さんがかゆみを訴えて来院されました。それぞれにいちばん適していると思われる処方をしました。3人とも異なるレシピです。しかもものすごく安価な治療法です。みなさんが来週どのくらい良くなっているかを見るのが楽しみです。もし乾燥肌のかゆみでお困りならご相談ください。

    A View from the 33rd FL Lounge at Prince Park Tower Hotel, Shiba Park, Tokyo

  • 冬の乾燥肌

    冬になると乾燥肌が痒くて仕方ないという人は多いと思います。乾燥して痒い場合、アレルギーの蕁麻疹やアトピーとは原因が違いますから、普通のかゆみにつかう抗ヒスタミンやステロイドの軟膏をぬってもほとんど改善しません。気休めです。そうかと言って、保湿クリーム(ヒルドイド軟膏やプロペト)も効果は限定的です。市販のスキンケア(ニベアやケラチナミン)のほうがまだ効果的ですが、塗って治るというよりは、塗ったときだけ少しいい感じ、といったところでしょう。一方、漢方では塗って治すのではなく、飲んで治す治療ですから体質そのものを根本的に改善してくれる効果が期待できます。乾燥肌で痒いのは皮膚の陰虚証と考え、当帰飲子を用います。

    理屈はそのとおりで、たしかに当帰飲子などは使っているうちに乾燥肌が改善して来ますが、結構根気強く飲まないと治りません。お年寄りで血圧などの薬を日頃から飲んでいる場合はきちんと飲んでくれますが、若い世代だと、なかなか長く続きません。すると治るものも治らず、漢方をもらったけど効かなかった、ということになりかねません。実は、私自身この季節はお風呂であたたまると太ももが痒くて痒くて赤くなるまで搔いてしまいます。しかし、自分では当帰飲子は飲んでいませんでした。

    そんななか、最近マイブームで大量のビタミン剤を自分で飲んでいるのですが、ある日突然痒みが取れました!どのビタミンがきいたのか、だいたいの察しはついているのですが、あまりに多種多様なビタミンを同時接種しているため、まだ確証がありません。もうすぐはっきりすると思います。乞うご期待。

    東京芝公園にて

  • コラーゲンについての知識

    コラーゲンには化粧品で皮膚に塗るタイプとドリンクや錠剤で飲むタイプがあります。コラーゲンは分子量が大きく、通常は塗っても皮膚から浸透するとは考えられません。ただ、皮膚のバリアに水溶性成分は通りませんが油性成分は浸透します。何か工夫することで、コラーゲンを皮下へ届ける方法はあるかも知れません。ただ、コラーゲンは蛋白ですから、下手に体内に入ってしまうとアレルギー反応を起こす可能性もあります。

    一方、口から取り込んだコラーゲンはどうかというと、これもコラーゲンのままでは体内に吸収されません。小腸の粘膜は蛋白を通さず、蛋白がアミノ酸レベルに分解されて初めて体内に取り込むようにできています。これも、変な蛋白が体内に入ったら、アレルギー反応を起こすからです。この腸のバリアが壊れた状態をリーキーガットといい、最近では小麦(おもに強力粉)に含まれるグルテンでリーキーガットを引き起こすことがわかっているので、パンはアレルギー体質の原因として要注意です。食物アレルギーがある場合、グルテンに気をつけましょう。

    そしてコラーゲンですが、コラーゲンはアミノ酸まで分解されずにオリゴペプチド(アミノ酸が2−3個繋がった状態)で吸収され、ビタミンCにより体内でコラーゲンに再構築されると言われています。豚足を食べた翌日肌がプルプルになるのはこのためです。従って、コラーゲンのサプリをとる時はビタミンCも同時にとる必要があります。