むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方サークルの新歓コンパ

    連休明けで忙しいのは忙しいのですが、予想したほどの忙しさではありません。おそらく、多くの患者さんが連休明けの今週を避けて来週受診されるのではないかと思います。今週中に受診したほうがこまずに済むかもしれません。本日当院に来た製薬メーカーさんによると、他のクリニックも同じ状況のようだと言われていました。

    木曜夜は熊本大学の漢方サークルの新歓コンパでした。私が作ったサークルなので、顔を出しましたが、今年の新入生は18名だそうです。世の中、漢方ブームですね。入学生の約2割が漢方サークルに入るなんて、すごい時代になりました。この中から数名がコアとなる人材に育ってくれると思います。頼もしいです。学生サークルでは漢方理論などを基礎から勉強します。私などは今となっては理論を飛び越えてた経験に基づく処方をします。学生の興味ある基礎理論とはあくまで考える基本ではあるのですが、実践は教科書通りにはいきません。柔軟で応用的な思考が必要となります。

    多くの施設では基本に忠実な処方をされます。当院にたどり着く患者さんは、そのような基本通りの処方はとっくに試していて、治らなかったというツワモノ揃いです。そこで、私なりに基礎理論に薬理的思考を追加したり、多くの経験から編み出された処方を使うことになります。その結果、他の病院でいろいろ漢方を貰ったけど治らなかったという患者さんが私の処方で速やかに改善すると、嬉しいことこの上ないです。毎日本当に難しい患者さんが集まってきますが、これぞ天職と思って頭を捻りながら処方を考えています。

  • 個人主義のすすめ

    滋賀県で痛ましい自動車事故がありました。交差点で右折しようとしていた車に接触した車が歩道で信号待ちをしていた園児の集団に突っ込んで園児二人が死亡したというニュースです。被害者がかわいそうでなりませんが、加害者もお気の毒です。過失で大勢を傷害してしまったのは、悔やんでも悔やみきれないと思います。

    このように、子供の集団に車が突っ込む事故が絶えません。加害者の過失に問題があるのはもちろんですが、集団行動することが事故を起こしやすくしている可能性もあります。一つは、群れていることで、身動きが取りづらいということです。自分ひとりなら車が飛び込んできたときとっさに逃げられますが、集団だと動ける範囲がかなり限られます。自分の周囲50センチも動けるでしょうか?これでは車は避けられません。次に、注意が散漫になることです。友達との話に夢中になって周りが見えなくなります。集団でいると自分が強くなった気がして行動が大胆になってしまう場合もあります。みんなで行動すると足の遅い子もいますから、遅れを取らないように焦ってついていくこともあるでしょう。必死についていこうとすると、周りの交通状況より遅れないことや先生に怒られないことを優先して行動するでしょうから、事故を誘発します。

    このようなことは、年をとっても同じです。団体で旅行するときなどは注意が必要です。注意力が散漫になりますからスリに遭ったり転んだりします。それでなくても、気が利かない添乗員にイライラしたり、疲れているのについていかないといけない状況などいろいろあるでしょう。こういうことを避けるには、小さい頃から個人主義を徹底して、集団行動をしないことだと思います。自分の行動は自分で決めて、ダラダラと人につるまないことです。

  • ルーチンワークはプロの証(あかし)

    料理上手のお母さんとプロの料理人のどこが違うか考えたことがありますか?私が思うに、プロはどんな時も味にブレがない。素人は料理が上手でも日によってばらつきが出ます。また、食材をその時々でかえてしまいます。美味しそうなものがあったとか、安くて新鮮なものが手に入ったからと言う理由でレシピを変えてしまうのです。それはそれで美味しいし、悪いことではないのですが、プロはどんな時も同じ食材で同じ味を出してきます。それは、料理の面白みとか楽しさを超えた世界で、厳しいとか、極めるという表現が近いと思います。

    仕事を探すときに、好きな仕事、楽しい仕事、趣味の延長と思ってやってみると、思ったほど楽しくない、厳しい、ということはザラにあります。それでは、それが自分にあっていなかったのかというと、それはわかりません。好きなこと、得意なことを仕事にすれば、おそらく他の人より上手にできると思います。ただ、それが楽しいかどうかというのは別の話なのです。

    最高のパフォーマンスを上げるには、楽しくなくても単調な仕事に没頭しなくてはいけません。単調な仕事の繰り返しをルーチンワークといいます。ルーチンといえばイチローを思い出すかもしれません。あれです。毎日同じものを食べて、バッターボックスでは決まった動きをして、きちんとヒットを打つ。天才的な人も、よく飽きないねと言われるまで同じことをひたすら繰り返す、ルーチンに磨きをかけることがプロの使命だと思います。医療も例外ではないと思います。 

  • 漢方の使い方と気候の影響

    連休最後の日は休日当番医で、80名近い患者さんでした。ほとんど風邪ですが、インフルエンザが1名でした。あとは胃腸炎も結構見られました。風邪の種類としては、すでに夏風邪のウイルスが主な様でした。漢方では、冬の風邪では体を温めて寒気を取ります。葛根湯や麻黄湯がその代表です。一方、夏の風邪は寒気は少なく、喉の痛みや発汗が目立ちます。私は、小柴胡湯加桔梗石膏をよく使いますが、少し寒気が残っている人にはそれに葛根湯を合わせて使います。柴葛解肌湯という処方です。市販の漢方薬(処方箋のいらないもの)では藿香正気散も夏によく使う処方です。

    以前私がテキサスに留学した際に、漢方の先輩である吉冨先生から、テキサスはアメリカの南部(メキシコとの国境の州)なので温かい。九州も温かいけど、もっと暖かいところで使うべき漢方はおそらく熊本で使っていた処方とは違うと思うと言われました。確かにそのとおりでした。テキサスに葛根湯などを持っていきましたが、アメリカにいた5年間で葛根湯を飲むようなことはありませんでした。

    日本でも、九州で漢方の大家と言われた先生が東北に転勤してみると、いつも九州で使っていた処方が効かない、なにか工夫が必要だと言われます。このように、漢方は診察して証(見立て)を決めて処方するという一連の流れだけではなく、地方性(気候、気温、湿度)などを含めた経験が十分ないとうまくいきません。そういう点も、西洋医学とはぜんぜん違う世界なのです。

     

  • 5月6日(月)は休日当番医です

    いよいよ連休も最終日ですね。5月6日(月)は休日当番医となっています。医師会のルールで当番医は朝9時から夕方5時までとなっています。通常の当院の営業時間とは異なりますので、お気をつけください。休日当番医は基本的には緊急性のある患者さんで、2次3次救急を必要としない急患が対象となります。しかし、今回のように長い連休となると、血圧の薬が切れたなどの緊急性はないが困っているという状況も想定されます。他院の当番医の状況を見ると、さすがに忙しそうでした。当院も混雑が予想されます。ただ、当番医の診療範囲は内科、循環器内科に限られますので、心療内科の初診のように相談に時間のかかる診察は5月7日以降で予約をお願いします。当院にかかりつけの心療内科の再診の場合で調子が悪いとか、薬が切れたなど必要なら受診されても構いません。

    私の連休はとくに旅行などすることもなくほとんど近場で過ごしましたが、開業してから初めてとも言うべくのんびりとリフレッシュできた休みとなりました。このところ、法人化の手続きなどでとてもストレスがたまっていたのですが、すっかり回復しました。休み中に気がかりだったのは訪問診療している患者さんたちの様子です。さいわい、訪問看護師さんたちから何かあれば連絡してくれることになっていたので、基本そちらに任せていました。何度か連絡が来ましたが、大したことなくて安心しました。

    休み中に時代は平成から令和へと変わりましたが、令という字がいまだにしっくり来ません(なんか、冷たい印象ですよね)。漢方では五苓散、柴苓湯、胃苓湯など苓という字をよく使いますが、茯苓という生薬のことを意味します。茯苓は胃の調子を整え、むくみをとってくれる働きがあり、非常に多くの処方に使われています。漢方好きの私としては苓和のほうが良かったなと思ったりします。 

    早朝の上江津湖をパノラマ撮影