むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 寒くなると頻尿になる

    寒くなってきましたね。寒い季節で体調に変化があるのは、血圧と夜間頻尿です。高血圧の人は夏より10くらい上る人が多いです。当院にかかっている患者さんたちも夏と冬では薬の強さを調整している人が大勢います。もう一つが夜間頻尿。これは結構問題です。一晩に3回以上トイレに行く人は睡眠不足になりがちです。昼間に眠くなったりして仕事に差し支えます。年をとってくると、こういう傾向になります。男性の場合、前立腺肥大が悪さをして残尿が多いと、夜間頻尿をきたします。寒い時期は汗をかかない分尿量が多くなり、夜にトイレの回数が増えてしまいます。ちなみに私の場合、夕食後お茶を飲んでビタミンを飲んでワインを飲んで日本酒、焼酎も飲みますが、夜にトイレに起きることはありません。ビタミンパワーだと思います。

    女性の場合、前立腺は関係ないですから、頻尿は過活動膀胱のことが多いと言われています。単なる頻尿ではなく、尿意切迫(尿意を感じたらトイレが間に合わず漏らすことがある)を呈します。ただ、このような典型的な症例だけではなく、中には尿路感染(膀胱炎など)で頻尿になる場合や、心不全で利尿剤を飲んでいるために頻尿になる場合もあります。立ち仕事で足がむくむ場合、夜に横になると足に溜まった水分が利尿されて頻尿の原因になる場合もあります。

    漢方では八味地黄丸や牛車腎気丸がよく使われますが、やはり原因別に西洋薬を併用したほうが効果が良いようです。例えば男性の前立腺肥大の場合、ハルナール(タムスロシン)やユリーフ、ザルティアなどが有効です。女性の場合、ベタニスがいいと思いますが、最近新しくでたべオーバはかなりよく効きます。当院は内科ですが、このような頻尿治療も行っています。

  • CKD対策は防已黄耆湯が最強!

    いっきに寒くなってきました。夏暑かった分、冬の寒さは身にしみます。温暖化の現象は夏暑くなるだけでなく、冬は一層厳しくなると予想します。寒暖の差が大きくなるのです。また、温暖化の結果空気中に含まれる水蒸気が多いため、寒気によって大雪になることも予想されます。冬対策は早めにしたほうがいいと思います。当院あたりではまだインフルエンザの患者さんはほとんどいませんが、風邪の患者さんは日に日に増えています。そういう中、心療内科の予約は1ヶ月待ちの状態です。心療内科の新患さんをひとり見る時間で風邪なら10人は見ることができるため、限られた診療時間を有効に使うには心療内科の新患予約を制限するしかありません。心を病んできつい患者さんには申し訳ありません。当院のホームページに、心療内科の新患もできるだけ速やかに診たいと書いているのに、1ヶ月待ちなんて、とクレームの電話をいただきました。不本意ながら、これ以上無制限に新患を受けられない都合上、ホームページ(お知らせのところ)は書き直しました。

    ところで、熊本市はCKD(慢性腎臓病)対策に積極的に取り組んでいます。なぜなら、慢性腎臓病から透析になってしまう患者さんの数が全国でも有数の多さだからです。早期から腎機能悪化には目を光らせて対策しましょうという取り組みですが、講習会に参加しても具体的に何をどうすれば腎不全を予防できるかはわかりません。腎臓を治す薬はこの医学の発達している世ですが、なにもないのが現状なのです。せいぜい血圧管理とか、糖尿病の管理とかその程度です。困ったら腎臓専門医へ紹介するようにとしきりに勧められます。

    しかし、腎臓専門医に紹介しても、何も変わったことはなく、半年に一度検査目的で受診させてくださいとか、その程度で終わってしまいます。そんな中、私と日赤の加島先生の間で意見が一致したのが漢方の防已黄耆湯(牛車腎気丸を加えるとさらに良い)が劇的に腎機能を改善することです。10年くらいフォローしないと透析を予防できるかはわからないのですが、あっと言う間に腎機能が良くなっていくので、当院や熊本赤十字ではCKD対策は漢方で、というのが常識になりつつあります。

  • ハウスダストの掃除法

    ハウスダストアレルギーの人にいい情報がありました。ためしてガッテンネタです。掃除をするとハウスダストが取れるのは当たり前ですが、掃除機のかけ方ですごい差があるとのことです。それは、押して掃除するのではなく、引いて掃除するほうがよいそうです。掃除機の先端に回転ブラシがついている場合の話なのですが、回転は押す方向に回っています。そこで、回転ブラシを引く場合、引く力と回転方向が逆方向の力となるため、掻き出す力がアップするということです。なるほど、それは面白いです。

    しかし、私が毎日クリニックの掃除機をかける際に押すときはきちんとゴミを吸うけど引くときはきれいに取れないという事実があります。ガッテンの言っていることに疑問を持ったので、さっそく自宅の掃除機でカーペットを掃除して検証してみました。結果、やはり<押す>ときのほうがきれいに吸えます!自宅もクリニックもダイソンを使っているので、ダイソンのブラシは押したときによく取れるのかもしれません。ガッテンのネタを鵜呑みにせず、各自でどっちが正しいかを確かめたほうがいいと思いますよ。3分あればはっきりします。

    さて、以前も書いたのですが、今、妊娠糖尿病の妊婦さんを当院でフォロー中です。インスリンを使うのが常識なのですが、糖質制限を頑張ってもらって、インスリン無しで経過順調です。ご飯、麺類、パン類などを食べない代わりに、野菜、肉卵などをしっかり食べて良いと言う方法です。通常はインスリンを使うとどんどん太りますから、血糖は下がっても体重増加で産婦人科の先生から怒られます。インスリン無しで炭水化物制限のみ行うと、お腹いっぱい食べても血糖は上がらず、体重も増えません。今見ている患者さんはもうすぐ8ヶ月。順調で何よりです。

  • 冷え性の漢方治療

    今日は日赤の加島先生が漢方の講演をしたので、診療が終わり次第駆けつけました。夕方の診察後にしばらくお客さんが来たりして対応していたので、講演に10分ほど遅れたのですが、100人は入る講演会場が大入り満員で、私は一番うしろの補助席でした。その後も続々と来場する先生がおられました。主催したクラシエの集客力と漢方に対する本気度が伝わります。講演の内容は冷え性の病態解説と漢方の使い方です。これからの季節、冷え性は多くなります。漢方の出番です。西洋薬ではほとんど冷えには対応できないと思います。

    冷え性というのは不思議なもので、かなり主観的なものです。足が冷えると言う患者さんの足を触っても冷たくないことがよくあります。漢方の診察では、脈や舌の状態から寒熱を診断するのですが、本人が冷えると言っているのに診察所見は熱という場合があります。診察しながら頭が混乱してきます。今日の加島先生の講演ではこのような頭が混乱するような症例は出てきませんでしたが、実臨床ではしばしばこういう場面に出くわします。患者さんがなぜ冷えを訴えているのかを個々の症例でじっくり考えないとうまく治療法を思いつきません。

    また、単なる冷えでなく、冷えに伴ってお腹が痛くなる人、頭痛や腰痛がする人、しもやけになる人、眠れない人など多彩な症状を合併します。それらをそれぞれの症例で病態を考えながらベストな漢方処方を考えます。本当に難しい作業なのですが、謎解きが楽しくてこの仕事はやめられません!

    ちょっと季節がおくれました。せっかく撮った写真なので出しておきます。

  • 明日の医療連携を考える会

    月曜の診療のあと、講演会に参加しました。「明日の医療連携を考える会」というものです。主催は東(あずま)病院です。東病院は田迎にある老舗外科病院でしたが、今は息子さんの代になっています。私は現在の院長と同級生で、10年以上前ですが、しばらく東病院に勤務していました。私の開業医の基礎はここで学びました。私たち医師は大きな病院で研修しますが、クリニックでかかりつけ医の訓練する事は殆どありません。大きな病院は手術して終わりですが、かかりつけ医は退院したあとの一生の面倒を見ないといけません。その心がけから、ノウハウに至るすべてをこの病院にいた5年ほどで学びました。東院長には感謝です。

    そして、この頃開業医の先生たちとのつながりができたのも私の宝となっています。今日の勉強会には、その仲間たちが大勢来ていました。腰椎手術で有名な成尾院長、立野病院の上村院長。私が数億の借金(開業資金)をする際に健康診断の書類を書いていただいた、鶴屋パーキングにある中川院長。訪問診療のやり方を教えていただいた、わかばクリニックの片山院長。これらの先生たちとの交流を持てたのは東病院で働いたおかげです。

    東病院のある田迎は私の実家もありとても愛着のある土地です。当時東病院で外来をしていたときは、私の幼少期を知っている近所の人たちがたくさん来てくれていました。私を育ててくれた土地に恩返しできる喜びを感じました。今は東区に移りましたので、幼少期を知る人が来ることはありませんが、今のクリニックには阿蘇、天草、水俣、玉名と県内各地から来院していただいています。地元熊本に貢献できているという喜びを日々感じています。