むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 野菜が育ちすぎて廃棄しているらしい!

    福岡のお土産に「めんべい」というものがあります。めんたい味のせんべいです。皆さん食べたことあると思います。よく売れているので福岡経済にプラスなのは当たり前ですが、そんな目に見えるメリットだけではないと知っていましたか?実は、明太子は賞味期限が厳密なので、古くなったら廃棄するしかなかったわけですが、「めんべい」はその明太子を廃棄せずにお菓子にすることで圧倒的に無駄をなくした商品なわけです。素晴らしいです。業界にとっては画期的です。

    今年は暖冬で、NHKニュースを見ていたら農家の人達が大きくなりすぎた大根をバンバン廃棄していました。豊作貧乏です。大きく育って、規格外だから捨てる、豊作すぎて値段が下がるから捨てる、こんなことをしていいのかと思います。ここは、めんべいのように農家(一次産業)は加工業者(二次産業)ときちんとタイアップしてとれすぎた時の対策をしないといけないと思います。例えば、大根ならおでんのパックとか、コンビニ用のぶり大根(真空パック)とか、切り干し大根や漬物などいろいろ加工できるはずです。大根を大根のまま八百屋やスーパーで売ることしか考えていないから豊作貧乏になるのです。世界は食糧危機が叫ばれているなか、とれすぎて捨てるなんてことはあってはならないと思います。

    農家の人達は毎日作業に追われて経済の勉強が出来ないと思います。それをサポートするのは農協だと思いますが、それができていないのだと思います。農業従事者が減るとトラクターなども売れないので農協(JAバンク)は貸付先を農業をやめた高齢者に、田んぼに何千万もするアパートを建てさせて家賃収入を勧めています。そんな暇あったら、採れた野菜や米の加工の流れをきちんと整備してあげるべきだと思います。

  • ただいま次の産業革命が進行中です

    今年は5Gの時代だと言われています。超高速通信が家庭まで普及してきます。それに伴い、あらゆるものがインターネットに繋がります(IoTとよぶ)。そして、人工知能(AI)が当たり前のように身近な存在となります。これは、第4次産業革命と言われています。そう、今私たちは産業革命の真っ只中にいて、その変革を目の当たりにしているのです。素晴らしい体験です。

    第一次産業革命は蒸気機関です。人と馬の力しかなかった時代から一気に産業が花開きました。第二次産業革命は機械です。機織り機とか、印刷機とか自動車などいろんな機械ができて、飛躍的に生産能力が伸びました。第三次産業革命はパソコンです。コンピュータが普及して、人類は月にも行った(アポロ計画)し、インターネットで検索したりメールすることが当たり前になりました。図書館で本を調べなくてもいいし、切手を貼って手紙を送らなくても良くなりました。スーパーコンピュータのおかげで週間天気予報が魔法のように当たるようになりました。

    そして、これからは人工知能です。もうすでに私の自宅にはアレクサ(アマゾンのAIスピーカ)と家電を制御するスマートリモコンがあります。クリニックにもアレクサをおいているし、お掃除ロボットのルンバもいます。これから数年で、日本の人口は激減しますが、AIのおかげで生産性は爆発的に伸びるので心配いりません。昔クワを持って一日数メートル耕していた時代から耕うん機なら一人であっという間に田んぼ何面も耕せるようになったほど生産性が上がります。うかうかしてはいられませんね。

  • 実はこわい健康診断!

    最新の週刊現代(1/25号)を読みました。トピックは「病院の検査はこんなに危ない」です。ちょっと目を引くタイトルです。内容は、私からするとほぼ納得いくものでした。ちょっと過激なところもありますが、それは週刊誌、そう思って読んでください。ただ、でたらめでなく、よく書けていると思いました。私も常日頃ここに書いてあるような危険性を感じています。頭痛がするからCTと取りたいとか、胃の調子が悪いから胃カメラ、ついでに大腸のカメラもしたいとか、検診のついでにがん検診をオプションで付けたら精密検査に引っかかり更に検査を受けたとか、検査好きの皆さんにはついていけません。

    アメリカは医療費が高いので、検査をするかどうかはメリットとデメリットをしっかり天秤にかけて判断します。日本は皆保険の上に最初からの設定価格が異様に安いので、つい検査をしたほうが安心、という選択をしてしまいます。じつは検査をしなければよかったという事例がどれだけたくさんあるか、私達プロしか知らないと思いますが、週刊誌を読んで勉強してほしいと思います。

    ちょうど同じタイミングで出た最新号の週刊ポストも同じような話題です。「健康診断は嘘を付く。ーこのがん検査を受けなければ命を落とさずに済んだのに」という表紙です。読んでみましたが、内容は同じようなことでした。ポストより現代のほうがよくかけています。いずれにしても、検診は<ビジネス>だということを忘れてはいけません。患者さんをおどしていろいろ検査して、お金を取られた上にいらない治療まで勧められることがあります。患者さんも勉強が必要です。親身に相談に乗ってくれるかかりつけ医がいれば一番いいでしょう。

  • 20年前アメリカの医療現場で見たものが今ここにある

    昔アメリカのTVドラマでERという番組がありました。私が医師になりたての頃はやったものです。当時はケーブルテレビで見るか、レンタルビデオで見るしかありませんでした。ERというのは救急救命室という英語の略語で、英語圏の人にとってはだいたいERで通用します。このドラマが一斉を風靡したのは、とてもリアルな描写だったからです。本当に病院の救急の現場はこの番組のとおりなのです。それまでの医療系の番組は名医が難病患者を助ける話などが多かったのですが、このERでは実際の現場のとおり、1−2割の急患は助からずに亡くなります。リアルに番組でそれを再現したところが話題でした。私はアメリカ留学中、集中治療部に所属し、救命救急を毎週まわっていました。当時私は血液凝固異常と急性呼吸不全を研究テーマにしてたため、テキサス大学病院の救急でもそのような患者さんを見てはレジデントに治療方針をレクチャーしていました。

    その懐かしいERの番組が、アマゾンプライムでただで見られるようになりました。見てみると、1995年とあります。なんと25年も前の作品です。救急の現場は25年たった今も同じです。ただ、番組の中の世界と今とでは変わったところがいくつかありました。一つはポケベル、アメリカではページャーとよんでいましたが、医師は全員持っていました。今は院内PHSになり、風景は変わりました。もう一つはレントゲンです。昔はフィルムを現像したものを見ていましたが、今ではパソコンの画面で見ます。デジタル撮影になったからです。

    私が留学していたとき(20年前)、アメリカの大学には今あるレントゲンのデジタル画像があちこちのパソコン端末で見ることができるようになっていました。それを始めてみた時は衝撃でした。また、カンファレンスでつかうスライドが現像を要するフイルムでなく液晶プロジェクターを使い始めたところでした。また、当時ダヴィンチという手術ロボットが導入されて、みんなで見学した覚えがあります。20年たった今、日本もやっとそういったテクノロジーの恩恵を普通に受けられる世の中になったんだなと実感しています。

  • 肩こりを治すには

    一日診察室で仕事をしていると、パソコンを操作する手と患者さんと話す口以外何も使いません。足腰の運動不足にならないよう、暇なときはスクワットをしたり、通勤は歩いています。おかげで足の運動はできていると思います。一方、上半身は全く使いません。パソコン操作に必要な指の運動だけです。姿勢も一定だと、血流が悪くなります。その結果、肩や首が凝ってきます。私だけでなく、会社づとめの多くの方が似たような状況だと思います。

    そのような症状に漢方だと桂枝茯苓丸加薏苡仁という処方があります。筋肉の血行を良くします。私がよく使う処方にもう一つ、麻杏薏甘湯というものがあります。この処方も筋肉痛をとるのに非常に効果的です。このふたつの処方に共通の生薬は薏苡仁(ヨクイニン)です。薏という字が入っているのでわかると思います。薏苡仁ははとむぎです。健康茶にも入っていますね。

    西洋薬だと、ミオナールという薬がこった筋肉をほぐしてくれます。私の外来ではかなり多用しています。私自身が自分の肩こりに使っているのはビタミン剤です。肩こりは筋肉に溜まった乳酸が痛みを起こしています。乳酸を分解するにはビタミンB3(ナイアシン)が必要です。また、乳酸をエネルギーとして再利用するためにビタミンB1が必要になります。ゆっくりとお風呂で温めて血行を良くし、筋肉に溜まった乳酸を血液中に流し、肝臓でビタミンの力で分解するのです。