むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 不明熱の漢方治療

    このところ、また新型コロナの患者さんが増えてきています。報道では近隣の知っている医療介護施設などでクラスターが発生したとか、人ごとではないような気がしています。私はずっとビタミンDを飲んでいるので全然心配していません。それでも、この数日の冷え込みで風邪の患者さんも多く、実際のところ当院ではPCR検査などありませんから、風邪として診療しています。去年から、私は風邪患者さんの診察では患者さんに触らないようにしています。本当は聴診器で音を聞いたり、首のリンパの腫れ具合を確かめたほうがいいのでしょうが、あとになってコロナと判明した際に、濃厚接触者扱いされてはその後の診療に差し障るため、決して風邪患者さんに触れないように気をつけています。

    そんな中、風邪でもなんでもないのに微熱が続くという、いわゆる「不明熱」の患者さんがいます。大きな病院であらゆる検査をしても、全く異常が見つからない、そういったケースでは、主治医も困ってしまいます。そこで時々思い出したように当院に紹介があります。漢方で治してくれとか、心因性かもしれないので見てくれ、という紹介です。

    漢方は、不思議なもので西洋医学でどんな検査しても異常がなくても治療方針が立ちます。つい先日も不明熱患者さんの紹介がありましたが、漢方的な診察の見立ては腎虚と陰虚陽亢でした。腎は腎臓という意味だけでなく神経系にも関与するため、自律神経失調を表しているかもしれません。陰虚陽亢は、発熱に伴い体の陰が減ってしまい、相対的に陽が亢進した状態です。バランス的に陽証で熱証ですが、実際には陰の不足が問題です。そこで、六味丸と白虎加人参湯という処方にたどり着きました。治療目標は清熱滋腎陰です。