むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 統合医学会

    猟奇的殺人事件がワイドショーで話題ですが、テレビ報道はちょっとしつこいと思いませんか?新聞や週刊誌なら見たくない人は見ないで済みますが、テレビでこれだけ報道されると見たくなくても目に入ります。あんな事件をテレビで見て気持ちいいはずありません。朝っぱらから鬱々とした気分になることと思います。気分が落ちると免疫能も落ちてしまいます。要注意です。

    それはさておき、今日は統合医学会が熊本で開催されました。驚くべきことに特別講演が3つもあり、それぞれが超一流の話でした。なかでも日本人で最もノーベル賞に近いと言われている前田浩先生の講演は素晴らしかったです。会の話題は最先端のがん治療です。最近は免疫チェックポイント阻害剤オプジーボが話題ですが、国の財政を破綻させるくらい値段が高く、一人当たりの治療費が数千万円です。一方、今日の学会の話題のひとつでガンになる前に癌になりそうかどうかを診断することができるmRNA検査をされている愛知医科大の福沢教授のお話は興味深かったです。私も座長としてお手伝いしました。

    メッセンジャーRNA(mRNA)はDNAと違って、その時々で発現量が異なります。そこで、癌遺伝子が活性化されているかどうかを通常の遺伝子診断(DNA)で見るよりダイナミックに検査できるとのことです。一例を提示されましたが、ヘビースモーカーで、肺がんの遺伝子マーカーが高くなっていたため、検査翌日から禁煙して、運動も心がけていたら、その癌遺伝子が消失したそうです。こんな検査で癌になる前に対処できるのなら、国の財政も心配しないでいいと明るい気分になりました。