むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 治せない病気の方が多い

    私の病気は治りますか、と聞かれることがあります。正直、私にもわかりません。そもそも、世の中の大半の病気は治せるものではありません。例えば高血圧。薬の進歩で200の血圧も130まで下げることができます。それ自体はなんら難しくないのですが、患者さんが治ったかと言われれば、治っていません。うまくコントロールできたというだけです。コレステロールもそうです。高い数値を低くすることはできますが、治ったわけではありません。結局、薬を続けないといけないのです。

    花粉症もそうです。薬を飲んでいれば症状は軽くなりますが、治ったわけではないので毎年毎年同じことの繰り返しです。加齢現象で膝や腰が痛い、眠れない、物忘れする、なども簡単には治りません。たまに薬がいらないレベルまで回復することがありますが、それは本人の努力もあります。要は、食事療法、運動療法です。言い換えれば、生活習慣の改善です。それなしに、薬で治ることを期待するのは難しいと思います。タバコを吸っていながら、咳が止まりませんと言われても、それはある程度仕方ないというしかありません。

    しかし、完璧に治すことだけがいいとは限りません。なぜなら、病院での治療は人生の目的ではなく、人生を楽しく豊かにする脇役だからです。全ての楽しみを投げ打って治療に専念するというのはどうかと思うことがあります。まあ、その人の価値観ですから一概には言えませんが、「一生薬を飲むのが心配」という前に、薬を飲んで多少なりとも一日が快適に過ごせるならそれでよし、治らなくても仕方ない、医学はそこまで進んではいない、と思うことが重要なパラダイムシフト(視点を変えることで新たな展望が開ける)だと思います。

    雨上がりの水滴が真珠のように輝く朝