むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 医療の価格は公定価格

    私たちのように保険診療をしている場合、診察料や処方箋料などほとんどすべて国が定めた公定価格です。裁量の余地はありません。したがって、東京のように地価(テナント料)が高いところも、田舎のように安いところも患者さんを一人診察して入ってくる収入は同じです。

    一方、レストランなどは全く違います。テレビを見ていたら、ぐるナイという番組をやっていました。例えばフレンチレストランで総額2万円と思うだけのメニューをオーダーしてぴったりかどうかを競う番組です。見ていたら、興味深いことに気づきました。それは、出演者が値段を当てるかどうかという視点ではなく、素人が思った値段と、店が決めた値段の差が面白いということです。店のオーナーは値段を好きに決められます。材料費+光熱費+人件費+テナント料+自分の腕が値段になるので、いくらで提供するかはオーナーの思い一つです。つまり、タレントが2万円と思ったメニューの実際価格が2万2千円だったとすると、その店の値段設定は素人の味覚+高級店だからこのくらい高いだろうという思いの総額よりさらに1割高かったということになります。素人は値段が味だと思うでしょうが、実際には人件費やテナント料も含まれていることを忘れていると思います。しかも、1皿あたりの人件費や地代などは1ヶ月で何人の客が来るかで割り算されるので、計算は難しいです。

    医療は腕が良くても悪くても同じ価格に設定されています。レストランのように自由な設定価格で医療を提供する自由診療(美容整形など)もありますが、それは例外です。公定価格の中でできることはあまりに限られており、規則(ルール)に従う以外方法がないのです。例えば私たち内科医が心療内科をやっていると、カウンセリング代が取れません。何分話を聞いても3分ですむ血圧の患者さんと同じ値段です。それでは割に合わないし、それでもカウンセリングしましょうという人が少ないのも納得です。でも、それが医療費(診療報酬)のルールなのです。