むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 共鳴する

    音叉(おんさ)を二つ並べて片方の音を鳴らすと、もう一つの音叉も音が出だすことを共鳴と言います。共鳴させるためには、二つの物体の持つ波動が一致しないといけません。

    地震では、地震の持つ周波数と建物の揺れた時の周波数が一致すると建物は大きく揺れます。車も、エンジンやタイヤから室内へ伝わってくる周波数が車の構造と共振すると変に振動したり音が出たりします。そこで、建物や車の構造はそういった外部からの波動で共振しないような工夫を施します。今度新発売されたマツダのCXー5という車はその辺の研究が相当進んだという話で、室内が静かで快適になったそうです。

    ところで、私の外来での診察スタイルですが、患者さんの困ったところ、痛み、苦しみ、悩みに共鳴することが本当に大事だと感じています。「それはきつかったですね」と表面的に協調するのではなく、本当に自分の心が患者さんの状態と同じ周波数で共鳴するような、そんな感じです。共鳴させるためには、相当詳しいところまで状況を確認しないといけません。胃が痛いと一言にいっても、チクチク痛いのかギューと痛いのか、吐き気はするのかなど、詳しく聞かないとリアルな実感として伝わりません。しかし、一旦自分の心が患者さんの体調や心理状態に共鳴すると患者さんの治療というより自分を治療をするために必要な薬を探すのと同じことですから、ベストな処方がどんなものかがリアルに目に浮かんでくるのです。

    一人一人の患者さんと波動を合わせて共鳴するには相当時間がかかります。外来が混んでくると、待たせている患者さんのことを思って気持ちは焦ってくるのですが、お一人お一人とじっくり向き合って心通った診察をしたいと思っています。ここでいう「心通った」とは「患者さんの状態に共鳴する」ことなのです。