むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 犬の散歩

    犬の散歩をすると、向こうから別の人が犬の散歩をしているところに遭遇することがあります。そんな時に時々気になることがあります。それは、散歩中に飼い主がイヤホンで音楽を聴きながら歩いている場合や、歩きスマホ(ながら犬の散歩)という状態を見かけるのです。私にとっては、信じられません。犬は電柱の匂い、車の様子、信号などをよく見ていますが、それだけでなく飼い主の足音、歩くペース、リードを引っ張る力具合など全身であらゆるセンサーを研ぎ澄ましながら飼い主のことに集中して歩いています。飼い主が小さい声でもちょっと出せば、ハッと振り向きます。逆に、私たち飼い主は犬のことをどれだけ見てあげているでしょうか。私は音楽や携帯などもってのほかで、犬の様子を見ています。歩き方、しっぽの立て方、しっぽの振る方向や角度、息遣いなどです。しっぽが立っていればご機嫌ですし、しっぽを右方向に傾けながら回すときはもっとご機嫌です。逆にしっぽを巻いてしまうときはとても怯えています。

    そういうちょっとしたしぐさを観察しながら、今日はこの散歩道はストレスが多そうだと思えば、お気に入りの道へ曲がってあげたりします。犬の方が飼い主をしっかり見ていますから、こちらも答えてあげないといけません。また、散歩中に耳をすますと、秋の虫の音が日に日に大きくなったのに気がつくし、吹く風に秋の気配を感じたりと神経はどんどん研ぎ澄まされていきます。

    そうやって私が全身のセンサーを飼い犬のようにビンビンにして何をするかというと、診察に役立てるのです。患者さんの目力、息遣い、涙、口臭、体臭、顔色、歯の色、手足のむくみなど短時間でできる限りの情報を集めて異常を探るのです。