むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 正義を振りかざしてはいけない

    当クリニックのロビーにもテレビがあります。テレビをつけると、このところ毎日豊洲市場の話とゲスのばかり。どちらも見ていて嫌な気持ちになります。何に対してかというと、テレビというマスコミに対してです。悪いもの探し、弱いものいじめ、みんな自分が正しく、相手が悪いという構図が目に付きます。

    新聞だと、見たくない記事は見ないで飛ばせますが、テレビはそういうわけにはいかない。司会者やコメンテイターがいかにも自分たちが常識的で正しい人みたいに意見する。どのチャンネルも同じ内容ばかりなので、見たくなくても目に入ります。こういうのを見ると、日本人というのはやっぱり単一民族で、みんなが自分と同じでないと気が済まないようです。こういう教育は幼稚園時代からなされており、一人違うことをしていると、先生に「周りを見てごらん、そんなことやってる人は他にいませんよ」と言って怒られます。そうして、自分という個性を殺してみんなと「同じ」であることを美徳として育てられるのです。

    今、クリニックでストレス障害のために体調を崩してくる患者さんをたくさん見ています。みなさん自分がなぜみんなとうまくいかないのか、なぜ自分だけがストレスを受けて生活しないといけないのか、とにかくこの世の中は暮らしにくい、という思いでいっぱいです。本当は自分は自分であり、人は人。人は自分と同じではなく、おなじであることを強要してはいけないのです。それなのに、小さい頃から人と同じでないと怒られる教育を受けてきたばかりに、他人に対しても自分と同じであることを求めてしまうのです。その最たるところがマスコミでないかと思うのです。芸能人や政治家など、どう見ても自分とは違う世界の人だし、自分たちの常識を当てはめて考えても仕方ありません。

    職場でも、自分と他人を比較したり人に自分と同じであることを強要するのは良くありません。雇う側としても、それぞれに個性があるから適材適所という考え方があるわけで、みんなが同じであったら逆に配置を決めるのも難しいのです。

    人が自分と同じであることを強要するのではなく、お互いの個性を認め会わなければ、国や会社組織の将来は危ういと思います。

    thumb_img_0686_1024