むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • MRIを過信しない

    MRIはその解像度のすごさに眼を見張るものがあります。画像処理の方法もいろいろあり、解剖学的変化を見るのに優れたものや超急性期の脳梗塞を見やすくしたものなどいろいろあります。脳神経の分野だけでなく、整形外科でも重宝されます。従来のレントゲンでわからなかったような小さな骨折もわかるし、脊柱の縦切りの写真も撮れるためにヘルニアや脊柱管狭窄のような診断が容易にできます。

    しかし、問題は感度がよすぎて検査をするといろんな異常が見つかるのですが、その発見された異常所見と実際の症状(例えば痛み)に関連があるかどうかははっきりしないのです。場合によっては、MRIで見つかった病変を手術したけど痛みは取れなかったと言うこともあります。逆に、すごい骨の変形や圧迫所見があるのに痛みのない人もたくさんいます。画像で見つけられた異常が、臨床症状と結びつかない例は珍しくありません。

    もう一つ問題なのは、検査で異常なかったからといって、その部分が異常なしとは限らないと言うことです。例を挙げるなら、手がしびれている時には首の骨が問題のことが多いのですが、実際に頸のMRIをとっても異常がないと言う場合があります。それは、画像が間違っているのではなく、技術的にはっきりさせることの難しいような病変が首にあるのではないかと考えます。決して画像で何もなかったから異常なしとは断定できないのです。これは私たちが騙されやすいポイントだと思います。